試合レポート

木更津総合vs東海大市原望洋

2018.07.23

野尻幸輝の独り舞台!打ってはサイクル安打!投げては6回無失点の好投!

 木更津総合vs東海大市原望洋と2年連続で準決勝で顔合わせとなった一戦。この試合は木更津総合野尻幸輝(3年)の独り舞台となった。

 野尻は4番ピッチャーで先発。チームの主砲であるが、速球の力強さはかなりのものがある。ステップ幅が狭く、打者とすぐに正対する野手投げの投手であるが、リリースポイントが安定し、しっかりと強く腕が振れるのが魅力。常時130キロ後半~143キロのストレートは威力があり、しっかりと押し込んで行ける魅力がある。まず1回裏を無得点に抑えると、今度は打で魅せる。

2回表、先頭打者として打席に立った野尻は内角高めの直球を振り抜き、ライトスタンド上段へもっていく先制本塁打。独特のバット投げも決まり、悠々とベースを回る姿は実に様になる。その後、大久保の大久保の右前適時打、さらに1番東智弥(3年)が左中間を破る適時三塁打で4点を先制。

 3回表も、野尻は内角変化球に詰まりながらも右中間を破る三塁打でチャンスを作り、5番神山の適時打で5点目を入れた。

 また野尻は第3打席でもレフト前ヒット。野尻が素晴らしいのは、長打を狙う場面ではフルスイングに徹し、先頭打者として流し打ち。引っ張りたい欲を隠して状況に応じて流し打ちができる技術はこれまでにはなかった姿。そういう思考の切り替えが安定したパフォーマンスを生んでいる。

 野尻は140キロ前後の直球、120キロ前後の縦横のスライダーを投げ分け、6回無失点の好投。

 そして7回裏、木更津総合は2番手に最速148キロ右腕・根本太一を投入。ここまで7回を投げ14奪三振の好投を見せている根本だが、この日は調子があまりよくない。右オーバーから繰り出す直球は常時130キロ後半~143キロ(最速145キロ)と、ミットに突き刺さすような威力あるストレートが少ない。東海大市原望洋打線は一死一塁から6番・伊達 幸紀(2年)に左中間を破る適時二塁打で1点を返され、さらに代打・飯田 敦彦(3年)の適時打で1点を返されたが、後続を抑える。

 しかし8回表、木更津総合は1点を追加すると、9回表、無死一塁で野尻の第5打席を迎えた。野尻は緩いカーブをとらえると、打球は右中間へ。適時二塁打となり、1点を追加。2016年の泉水悠矢茂原)以来、夏10人目のサイクル安打を達成。同校では 平野靖幸氏(2004年夏)以来の快挙となった。その後、打線がつながり、9対2まで点差を広げた木更津総合

 9回二死まで根本が抑え、あと1人となったところで篠木健太郎(1年)が登板。最速142キロの回転数が高いストレートとキレのあるスライダーを武器に三振に打ち取り、3年連続の決勝進出を決めた。

 野尻は5打数4安打2打点の活躍。狙い球に対してはフルスイングで持っていき、かわしにきた変化球は力まず、レベルスイングで右中間へ切り裂く打球を打ち返す。良いリズムで打席を迎えており、状態は理想的といえる。決勝でもこの調子を持続できるか。

 今度は自分のバットで3年連続の甲子園出場に導く。

(文=編集部)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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