作新学院vs白鷗大足利
初回の攻撃で逃げ切った作新学院が8連覇達成!
7月の終盤に入り、各地で決勝戦が行われ始めた高校野球。栃木では作新学院と、白鷗大足利の一戦。作新学院が8連覇を成し遂げるのか。それとも白鷗大足利がそれを阻止するのか。注目度が非常に高い一戦は初回から動く。
先攻の作新学院の1番・福田真夢が白鷗大足利の先発・熊谷倫太朗の初球をセンターに弾き返して、リードオフマンとして最高の仕事をやってのける。福田は盗塁も成功させると、キャッチャーの悪送球で一気に三塁へ。
1本のヒットと1つのエラーで先制のチャンスを作ると、3番・齋藤陸人が前進守備を敷く二遊間の間を抜くセンター前ヒットで、福田が生還。作新学院が先制点を上げることに成功する。
ここで素晴らしいプレーが出た。打った齋藤が白鷗大足利の守備を見て、一塁から一気に二塁へ。チャンスを逃さない好走塁でまたも得点圏に作新学院がランナーを置く。
このチャンスで5番・沖龍がインハイに来た真っすぐを上手く腕を畳んでレフトへ弾き返す。これで二塁ランナー・齋藤が2点目のホームを踏んで、2対0と作新学院が初回にリードを奪う。
作新学院の先発はエース・髙山陽成。力感のないフォームから真っすぐ、カーブやスライダー、そしてチェンジアップといった縦の変化球を軸にピッチングを組み立てる。その髙山は、二死から白鷗大足利の3番・周東樹生と4番・大川拓実に連続四死球を与えてピンチを迎える。しかし、5番・水谷宗太をファーストライナーに仕留めて、初回のピンチを脱する。
ピンチを脱してここからリズムに乗りたかった髙山だったが、まさかの初回で降板。理由はわからないが、作新学院には思わぬアクシデントに見舞われるが、その心配をこの男が断ち切る。
その男とは作新学院の2番手・背番号11の林勇成である。2回にマウンドに上がった林は、白鷗大足利を三者凡退に抑える素晴らしいピッチングで流れを渡さない。
何とかして追加点を上げて試合を優位に進めたい作新学院だが、白鷗大足利の熊谷の切れ味鋭い縦の変化と、コーナーを広く使った制球力の高い投球術を前になかなか追加点を上げることができない。
試合は膠着状態のまま終盤まで進んでいく。
ここまでランナーを出しながらもホームを踏ませない粘りあるピッチングで白鷗大足利を抑えてきた作新学院のマウンドの林。しかし8回、ここでピンチを迎えた。
先頭の2番・高橋諒大に外角の真っすぐをセンターに弾き返され、無死からのランナーを背負う。続く3番・周東はサードフライに打ち取るも、4番・大川にレフトへヒットを打たれ同点のランナーが一塁へ。ここで打席には先ほどの打席でファーストゴロに抑えたが、鋭い当たりを打たれている5番・水谷。
ホームランだと最悪逆転まであり得るこのケースで、林の高めへの渾身の真っすぐが弾き返される。しかし、その打球はショートへの併殺打。終盤のピンチを無失点で作新学院は切り抜けた。
最終回、作新学院はダメ押しの1点を上げることはできなかったが、裏の白鷗大足利の攻撃を三者凡退に斬って取り試合終了。2対0という手に汗握る接戦を制した作新学院が8連続14回目の優勝を成し遂げたのであった。
(文=編集部)