試合レポート

上尾vs早大本庄

2018.07.20

前回記念大会の再現なるか。上尾がベスト4進出

 

 北埼玉は古豪の勝ち上がりにオールドファンは湧き上がっているであろう。上尾が10年ぶりのベスト4進出を決めた。

 

 北埼玉のベスト8はBシード・上尾早大本庄という北部でライバル意識のある2チームの一戦、先発は上尾木村歩夢(3年)、早大本庄が左腕の富永隼太朗(3年)と両エースが先発し試合が始まる。

 

 先攻の上尾が初回からお得意の先制攻撃を仕掛ける。

 

 早大本庄・富永の立ち上がりを攻め立て先頭の小川竜太朗(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く原勇輝(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。3番・日野吉彬(3年)が四球を選び一死一、二塁とすると、続く村上達哉(3年)の所でキャッチャーがパスボールをし、一死二、三塁とチャンスを広げると、ここで村上達がセンター前2点タイムリーを放ち上尾が幸先良く2点を先制する。

 

 対する早大本庄もその裏、上尾・木村の立ち上がりを攻め、先頭の吉田昴平(3年)が四球で出塁すると、続く佐藤幹太(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに、3番・手塚隆介(3年)がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げると、続く長谷川真寿(3年)がきっちりと犠飛を放ちすぐに1点を返す。

 

 だが、この日の上尾早大本庄・富永に立ち直るきっかけを与えない。2回表にも、この回先頭の小林陸人(2年)が四球で出塁すると、続く内山龍我(3年)はショートゴロに倒れる。併殺かと思われたが、ショートのトスを受けたセカンドが落球しオールセーフとし無死一、二塁としてしまうと、さらに1番・小川が絶妙なセーフティ―バントを決め、無死満塁と追加点を奪う絶好のチャンスを迎える。ここで続く原勇が犠飛を放ち1点を追加すると、さらに3番・日野がレフト前タイムリーを放ち4対1とし試合の主導権を掴む。

 

 一方の早大本庄もその裏、この回先頭の富永がセンター前ヒットを放ち反撃を開始するが、続く若旅雅弥(3年)の犠打が併殺となりチャンスが萎む。それでも8番・齊藤竜登(3年)が四球を選び再度チャンスメイクすると、続く山浦秀斗(3年)がライト前ヒットを放ち二死一、三塁とするが、後続が倒れ無得点と何ともチグハグな攻撃をしてしまい上尾・木村に立ち直るきっかけを与えてしまう。

 

 木村が3回以降徐々に三振増え始めるなど立ち直り、7回まで早大本庄打線を1安打5三振に抑えるピッチングを披露する。

 

 一方の富永は3回以降も立ち直る気配はなく、毎回のようにピンチを招く。3,4回は何とか無失点に抑えていたが、5回表力尽きる。


 

 5回表、二死から9番・内山はショートゴロに打ち取るがこれがエラーとなり内山を二塁へ進めると、バッテリーは続く小川をやや避けるように歩かせ二死一、二塁とする。だが、2番・原勇にも四球を与え満塁とすると、続く日野にファースト強襲のタイムリーを浴びまず1点、さらに満塁から4番・村上達にも押し出し四球を与え6対1となった所でマウンドを二番手後藤佑典(3年)に譲る。

 

 上尾はこのままコールドペースに持ち込むかと思われたが、早大本庄・後藤の粘り強いピッチングの前になかなか決められずにいると、徐々に流れが早大本庄に傾き始める。

 

 迎えた8回裏、この日の40度近い猛暑によりややへばりを見せていた上尾・木村が、早大本庄打線に捕まり始める。この回先頭の山浦がライト前ヒットを浴びると、1番・吉田、2番・佐藤に連続四球を与え無死満塁としてしまう。続く手塚に犠飛を浴びまず1点を返されると、さらに4番・長谷川にもライト前タイムリーを浴びる。さらにライトがこのボールをファンブルすると、バックホームのボールを今度はキャッチャーが後ろに逸らし、一走・佐藤まで本塁生還する。これで6対4の2点差となり一気に試合がわからない展開となる。だが、その後は木村が踏ん張り何とか2点差で切り抜ける。

 

 一方、何とか悪い流れを断ち切りたい上尾は、9回表この回先頭の小林が四球で出塁すると、続く内山が右中間へタイムリー三塁打を放つと、1番・小川もセンター前タイムリーを放ち8対4とし勝負あった。その後も代わった2投手から四死球を絡めながら松山幸乃樹(2年)のレフト前タイムリーと内山の2点タイムリーなどで結局この回一挙7点を奪う猛攻を見せた上尾早大本庄を最終的に13対4の大差で下し10年ぶりに夏の準決勝進出を決めた。

 

 早大本庄は、一時5点のビハインドからも諦めず2点差まで詰め寄るなど決して諦めない終盤の粘りは見事であった。だが、如何せん投手陣が4投手で14四死球は与え過ぎだ。打力は例年それなりの打線に仕上げてくるだけに、課題はとにかく投手力だ。新チームでは柱になれる存在が欲しい。

 

 一方の上尾は、巧打者小川を中心とし打線は活発でよくまとまっている。これまで順当に順調に来ているが、気になるのがエース木村への負担だ。大会前からその点に対し警鐘を鳴らしてきたが、今年の夏は特に暑いだけに彼の消耗度が気になる。準決勝の相手昌平は好左腕・米山魁斗(2年)に強力打線を有しており、春日部共栄を倒すなど投打共にハイレベルであり、場合によっては川田元気(3年)、寺山大智(2年)を含めた総力戦になることも考えておかなければならない。いずれにせよ、10年ぶりの夏ベスト4進出による地元の特にオールドファンはさぞ高ぶっているであろう。当日の[stadium]県営大宮球場[/stadium]はホームグラウンドとなることは容易に想像がつく。上尾市民の後ろ盾を得た古豪・上尾が決勝へ一歩前進することができるか。

 

 

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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