試合レポート

美来工科vs未来沖縄

2018.07.18

美来工科とKBC学園未来沖縄。両者ともに力を出し切った最上級のゲーム

 ハラハラドキドキの試合は、延長だけにとどまらず、ついにタイブレークへと突入していく。そのタイブレークの中で見せた宜保翔の意地と、技術とハートが詰まった13回裏の守りは、凄いとしか良いようのないもの。最上級のゲームと感動を覚えさせてくれた美来工科とKBC学園未来沖縄の試合を振り返る。

 美来工科比嘉竜聖、KBC学園未来沖縄宜保翔の先発で始まったゲームは両投手の好投で引き締まった展開に。そのゲームを動かせたのは4回裏の美来工科。一死から4番比屋根京介がレフトへツーベースヒット。二死後、KBC学園未来沖縄に痛恨のエラーが出て、比屋根が二塁から一気に生還した。

 5回表、KBC学園未来沖縄は石原がセンターを襲う二塁打。四球と犠打で進めると9番城間がスクイズを決め同点。さらに1番宮城晴がライトへ大きな三塁打を放ち逆転した。

 すると美来工科はその裏、二死一・三塁から玉城幸人がレフト前へ同点タイムリー。続く比屋根もセンター前へはじき返し1点追加。そして比嘉真人も左中間を破る2点タイムリー二塁打。クリーンアップの3連打で大量4点をボードに刻み込んだのだった。

 このままでは終われない第1シードのKBC学園未来沖縄は6回表、交代した二番手投手を攻める。山城翔也と石原の連打から下地がレフト越え三塁打で2点を奪う。さらにKBC学園未来沖縄は8回、二塁打の山城を三塁へ進めてプッシュバントスクイズでついに同点に追いつく。そして試合は延長へと入っていった。

 12回でも決着がつかない両者の戦いはついにタイブレークへ。まずはKBC学園未来沖縄が犠打で進めてチャンスを得る。打者の当たりは強烈な三塁線を襲ったが、美来工科伊波俊がダイビングキャッチ。そのままベースを踏み併殺が完成。まさかの展開に追い詰められた王者。11回から再びマウンドに上る宜保翔に赤信号が灯ったが、ここから僕らは圧巻のピッチングを見ることとなる。

 相手打者の犠打を、宜保翔自ら捌くと、三塁へ送球しワンアウト。次打者を三振、そしてファーストゴロ。タイブレーク走者を一歩も進ませない快投で14回へ突入していった。

 その14回表、KBC学園未来沖縄は、プッシュバントスクイズで待望の1点が入ったが、欲を言えばもう1点欲しかった。

 14回裏、犠打を決められたKBC学園未来沖縄バッテリーは満塁策をとる。ここで宜保翔はギアを上げ三振斬り。ツーアウト。このまま行くのかと思ったこの日の宜保翔の129球目が甘く入る。

 美来工科玉城幸人の打球はライトへ。見届けた玉城は歓喜の雄叫び。マウンドの宜保翔は、しばらくうなだれたあと、挨拶の列に加わった。

 KBC学園未来沖縄ナインの高校野球はこの日が終着駅。しかし一年生大会優勝から周りを席巻してきた彼らの新たなベースボールは、県民野球ファンの脳裏に強く焼きついた見事なものだった。

(文=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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