試合レポート

藤沢清流vs氷取沢

2018.07.18

3時間以上に及ぶ熱戦は藤沢清流がサヨナラ勝ち!

 こんな熱戦が今南神奈川でどれだけ繰り広げられただろうか。その思えるほど藤沢清流氷取沢の試合は、一歩も譲らぬ互いに実力が拮抗した好ゲームとなった。

 この試合が動いたのは2回。マウンドには藤沢清流内山海乙。外角への抜群の制球力で力強い真っすぐとキレ味鋭い縦のスライダーを武器にピッチングをする。その内山は初回氷取沢を三者凡退に打ちとる立ち上がりを見せたが、2回の氷取沢の攻撃。先頭の4番・杉村奎哉に3球目をライトスタンドに運ばれる先制ホームランを許し、藤沢清流は追いかける展開となった。

 しかし直後の3回の攻撃、一死から1番・今泉祐太が相手のエラーで一気に二塁に到達すると、2番・谷口輔のライト線へのヒットで一気にホームまで返り、藤沢清流はすぐさま同点に追いつく。

 チャンスは続き、3番・小田嶋優が内野安打、4番・辻本輝道センターフライで二死一、三塁とすると、ここでバッターボックスに5番・高尾泰介が入る。先ほどの第一打席ではファーストゴロに抑えられたが、この打席は3球目を捉えると、ライトへグングン伸びてそのままスタンドイン。このホームランで勝ち越しに成功した藤沢清流が4対1とする。

 3点のリードをもらった内山は、氷取沢打線に外角を中心に攻めるピッチング反撃の隙を与えず追加点を待つ。藤沢清流打線は中押しの1点を上げたいが、氷取沢2番手として4回からマウンドに上がっているエース・佐藤哲平からなかなか追加点を上げることができず、中盤は試合が投手戦となり膠着状態になる。

 ここまで互いにホームランによる得点の印象が強いが、劇的な展開が終盤に待っていた。

 6回に氷取沢1番・福嶋彗大のライト前へのヒットで無死からランナーを背負うと、続く2番・藤本直希に送りバントを決められ一死二塁。3番・田中航海は三振に斬って取るも、4番・杉村にレフト前に落とされるタイムリーで2点差に縮められる。

 しかし7回、藤沢清流は先頭の1番・今泉が四球を選んで出塁をすると、2番・谷口が送りバントを転がし得点にランナーを進める。ここで3番・小田嶋がチャンスをモノにするライトへのタイムリーで再び3点差をに広げた。

 このダメ押しの1点で試合は決まるかと思われたが、氷取沢はここからが凄かった。
 8回併殺崩れで出したランナーを一塁に置いた状況で、3番・田中を味方のエラーとバッテリーエラーで一死二、三塁の大ピンチとなる。ここで打席には4番・杉村を迎えるが、内角に真っすぐをズバッと投げて見逃し三振。二死となり、このままピンチを脱するかと思われたが、続く5番・村上朋裕に内角高めに抜けた真っすぐをレフト線に運ばれたちまち1点差。

 1点差まで詰め寄られたが、二死二塁。6番・森将太朗の代わって入った、代打・永松大輝を抑えれば何とかリードを保てた。しかしその永松にセンターへのタイムリーを打たれてしまい、終盤で試合を振り出しに戻された。

 8回、9回ともに両校は決め手に欠き、この試合は延長戦へ。10回はともに無得点に終わるも、11回。マウンドの内山が氷取沢の5番・村上に死球を与えてしまうと、エラーと送りバントで一死二、三塁とする。ここで8番・佐藤にセンターへの犠牲フライで遂に氷取沢に勝ち越しを許してしまう。

 これで万事休すかと思われたが、簡単には終わらない。藤沢清流の1番・今泉、3番・小田嶋で同点のチャンスを作ると、4番・辻本が3球目をセンターに弾き返し、再び試合は振り出しに。

 13回からタイブレイクに突入するも、13回は互いに2得点。この試合はどんな結末を迎えるのか。白熱の試合は14回に待っていた。

 

 14回の氷取沢の攻撃を無失点に抑えた藤沢清流は、5番・高尾がショートゴロに倒れるも、続く6番・江川碧が値千金のサヨナラヒット。延長14回に及んだこの試合は、藤沢清流はが9対8で勝利を掴んだ。

 まずは3時間以上に及んだ試合をやりきり、こんなに素晴らしい試合をしてくれた両校の選手たちに拍手を送りたい。この試合を通じて改めて最後まで何が起きるかわからない野球の面白さ、そして高校球児の持っているパワーを再確認できた。勝った藤沢清流は4回戦、惜しくも敗退した氷取沢には次のステージで、この試合の経験を活かしてほしい。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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