東亜学園vs都立桜修館
都立桜修館・持丸、奪三振10の力投及ばず、東亜学園逃げ切る
都立桜修館の持丸航毅は、知る人ぞ知る都立の速球投手だ。投げっぷりの良さは、見る人に訴える力があるが、突如崩れる脆さもある。しかしこの試合、最初に崩れたのは、東亜学園の方だった。
東亜学園の先発は、背番号18の小林大樹。1回裏小林は、2人続けてストレートの四球。桜修館の3番・岡田泰知にも3球続けてボール。11球投げて、1球もストライクが入らない状況に、東亜学園は慌てて投手を高須啓太に交代した。結局岡田も四球で桜修館は無死満塁のチャンス。4番・高橋冬馬の中犠飛で、桜修館が1点を先制した。ただこの回、1点止まりだったことが、後々響いた。
桜修館の持丸は、1,2回を投げて安打0、奪三振3の好投をみせ、東亜学園も攻略がそう簡単でないように思えた。しかし3回表二死三塁から、東亜学園の2番・岩本翼の叩きつけるような打球は、二塁への内野安打となり、二塁走者が生還し、同点に追いついた。さらに3番・小西莉於の右前安打で一、三塁、さらに小西の二盗で二、三塁とし、4番・小林我久の打球は遊撃手の前でイレギュラーして2人が還り、桜修館の持丸にはやや不運な形で東亜学園が逆転した。
5回表、東亜学園は2番・岩本の2点中前適時打など安打3本を集め、2点を追加し、4点差とする。
ただ春はこうした場面で崩れていた桜修館の持丸は、逆転された後も力投が続く。その力投に応えるように7回裏には、1番・長良拓真の中前安打に敵失もあり、桜修館は1点を返す。8回裏には7番・上原辰徳がこの試合2本目となる二塁打を放つなどして2点差に迫り、試合は俄然緊張感を帯びていた。
9回裏東亜学園は、2回戦で8回を完投した東新太郎を投入する。桜修館は東に対し、9番・石塚翔一の左前安打、1番・長良の二塁打で無死二、三塁とし、同点のチャンスを迎える。ここで東が踏ん張り、後続の3人を打ち取り、5対3。東亜学園が逃げ切った。東亜学園としては、都立の好投手との激闘を制したことは、今後の試合への弾みにもなる。東亜学園は、4回戦で都立広尾と対戦する。
桜修館の持丸は、いくつものピンチを乗り越え、奪三振10の好投を演じたことは、突然崩れた春からの成長を感じさせる。これで持丸の高校野球は終わったが、どんな形であれ、今後も野球を続けてほしいと思わせるこの日の投球であった。
(レポート=大島裕史)