高崎経大附vs前橋東
6回の一発で流れ引き寄せた高崎経済大附、終盤に突き放す
新チームになって県大会はいずれも初戦負けと、このチームでは実績を残せていない高崎経済大附。しかし、4年前にはベスト4にも進出したという実績もある。チームとしての力は、決して低くはないという印象だった。また、昨夏はベスト8まで進出している前橋東も、下手投の稲葉投手を中心として、しっかりとまとまった好チームだった。そんな両チームの対戦は、共に突出した選手がいるわけだはないが、今の自分たちが夏の大会を目指して仕上げてきた、そのすべてをぶつけあうという感じの展開だった。終盤にこそ、やや点差が開いてしまったものの好試合という印象だった。
高崎経済附は2回、死球と安打の走者をバントで進め一死二三塁とすると、9番投手の鈴木悠の内野ゴロの間に三塁走者が帰り先制。さらに、3回にも栗原功輔と4番樺澤の安打などで一死一三塁から5番石川の巧みに一塁に転がしたスクイズで追加点。
しかし前橋東もその裏、9番若林の三塁打から反撃開始で、3番笹澤の二塁打と5番塩尻の左前打で追いつく。そしてお互いの先発投手がそれぞれ持ち味を出して好投していきながら、後半に突入。次の1点が大きく試合の流れを変えそうだったが6回、高崎経済大附は8番の丸山が左翼スタンドに叩き込んで突き放した。
まさに、流れを呼び込む一発となったが、8回は四球と送球ミスでチャンスを貰うと、登坂渓生のタイムリーと代打花岡の二塁打で2点を追加。そして9回にも、主将小田桐の二塁打や、とどめとなった丸山理三塁打などで4点を加えた。それでも、前橋東の稲葉は最後の打者に対してはインサイド低めひざ元にベストピッチ。意地を示した。そして、その裏には山﨑と代打大崎と2本の三塁打で1点を返して食い下がる姿勢を示した。
どちらも決して突出した選手がいるというワケではないけれども、自分たちがここまでやさてきたことを出し尽くしたという、そんな感じの夏の大会らしい思いのこもった試合だった。こういう試合に巡り合えることに、高校野球の地区大会の面白さがあるのではないかと、そんな思いにもなれた試合である。
また、高崎経済大附は1番から5番までが2年生ということもあって、チームとしてはまだまだ伸びしろもあると言えるのではないだろうか。
(文=手束 仁)