東海大相模vs花咲徳栄

満塁ホームランを打った本間（東海大相模）

　5月19日に開幕した春季関東大会。2日目は8試合が行われ、[stadium]ゼットエーボールパーク[/stadium]の第1試合では、昨年の夏の甲子園で優勝を果たした花咲徳栄と、今春の選抜甲子園でベスト4に進出した東海大相模が激突。

　今大会屈指の好カードとあって、[stadium]ゼットエーボールパーク[/stadium]には、朝早くから多くの高校野球ファンが詰めかけた。

　まず先制したのは、花咲徳栄だった。

　2回表、花咲徳栄は東海大相模先発の斎藤礼二を攻めて、無死一、三塁のチャンスを作ると、9番・田谷野拳世がライトへの犠牲フライを放って1点を先制する。

　東海大相模は、先発の斎藤礼二が初回から苦しいピッチングが続いた。高めに浮いたストレートを痛打される場面が目立ち、序盤は毎回のようにランナーを背負うピッチングとなった。

　それでも先制された2回以外は、粘りの投球で得点を許さず、味方の援護を待った。

　すると5回裏、斎藤の粘りの投球が遂に大きな流れを引き寄せる。
5回裏、5番・井上のツーベースから無死三塁のチャンスを作ると、6番・渡辺健士郎のセンター前タイムリーで同点に追いついた。さらに無死二塁とチャンスは続き、打席には7番・加藤響。加藤の打球はショートを頭を超えていくヒットとなり、二塁ランナーが逆転のホームに帰ってきた。

　東海大相模の攻撃はこれで終わらない。その後、満塁のチャンスを作ると2番・本間巧真が右中間スタンドに突き刺さる満塁ホームランを放てば、続く3番・山田拓也も右中間スタンドへ二者連続のホームランを叩きこんだ。

　東海大相模は、この回7点得点。ビックイニングを作り、花咲徳栄を一気に突き放すことに成功した。

サヨナラホームランを打った森下を出迎える東海大相模

　花咲徳栄との点差は6点となり、このまま東海大相模が逃げ切るかと思われたが、斎藤礼二の調子がなかなか上がらない。6回に2本のヒットで1点を失うと、8回にも不運なヒットが続き1失点。点差がじわじわと縮まり、不穏な空気が流れ始める。

　そして迎えた9回、斎藤は2つの四球とヒットで無死満塁のピンチを招く。このピンチの場面で、斎藤は痛恨の押し出し四球を与えてしまう。この1点がきっかけとなり、ここから花咲徳栄は一気に斎藤に畳み掛ける。

　満塁の場面は続き、4番・野村佑希が犠牲フライを放つと、6番・倉持賢太もセンターへ犠牲フライを放ち1点差に迫る。さらに続く7番・井上朋也はライトへのエンタイトルツーベースを放ち、これで花咲徳栄は土壇場で7対7の同点に追いついた。

　一方、4点差を追いつかれて、敗戦ムードさえ漂い始めた東海大相模。このままズルズルと延長に入ってしまうかと思われたが、そんな重く苦しいムードをチームの主砲が一振りで払いのけた。

　二死ランナー無しの場面で打席に入るのは、この日1番に入った森下翔太。甘く入ったスライダーを振り抜くと、打球は左中間スタンドへと吸い込まれ、劇的なサヨナラホームランとなった。
これが高校通算49本目の本塁打となった森下は、ホームベース上にできた歓喜の輪に飛び込んだ。

　これで東海大相模はベスト8入りが決まり、明日常総学院との対決が決まった。明日も「選抜4強」の底力を発揮することができるのか注目だ。

（文・写真＝栗崎 祐太朗）