試合レポート

浦和学院vs山村学園

2018.05.03

持ち味の勝負強さで1点勝負を拾った浦和学院が春6連覇へあと一勝!

浦和学院vs山村学園 | 高校野球ドットコム
河北(浦和学院)

 

 佐野 涼弥(3年)、渡邉 勇太朗(3年)の左右両輪を欠きながら、その他の投手の頑張りでここまで勝ち上がってきた浦和学院対、聖望学園埼玉栄など強豪ひしめく一番の激戦ブロックをエース和田 朋也(2年)のピッチングと強力打線で勝ち上がり勢いに乗るBシード山村学園との一戦は戦前の予想に違わぬ1点を争う好ゲームとなった。

 

 浦和学院は、背番号10の河北、一方の山村学園は、前の試合で右肩を亜脱臼してから中二日、その回復具合が心配されたエース左腕・和田が先発し試合が始まる。

 

 ゲーム序盤は山村学園のペースであった。

 

 まず初回、山村学園浦和学院・河北の立ち上がりを攻めたてる。先頭の木内 輝(3年)が死球で出塁するが、続く横田がなかなか送れないと見るや山村学園ベンチは作戦をスチールに切り替える。木内は期待に応え河北のモーションを完全に盗み二盗を決め無死二塁とする。結局横田は三振に倒れるが、3番・野邨 祐樹(3年)も死球で出塁し一死一、二塁とする。続く長谷川は三振に倒れるが、二死後、今度はダブルスチールを敢行する。これも見事に決まり二死二、三塁とチャンスが広がる。だが、後続が倒れ無得点に終わる。

 

 山村学園は3回表にも、先頭の木内がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く横田がきっちりと送り一死二塁とする。さらに河北の二塁への牽制球をセカンドが後ろに逸らしてしまう。その間に二走・木内が三進し一死三塁とチャンスが広がる。だが、後続が倒れまたしても山村学園は先制機を逸する。

 

 一方の浦和学院打線だが、初回から山村学園・和田に苦しめられチャンスらしいチャンスが作れない。打たされてしまう形が続き、ゴロアウトが多くなり単発でヒットこそ出るが、なかなか連打も奪えない。

 

 それでも浦和学院は両者無得点で迎えた6回裏、この回先頭の阿部がレフト前へヒットを放つと、さらにレフトがジャッグルするのを見逃さず、一気に二塁を奪い無死二塁とする。続く中前がきっちりと送り一死三塁とすると、二死後ここを勝負所と見た山村学園ベンチは4番レフトの長谷川を下げ守備の良い川島を入れる執念を見せる。だが、3番・河北の打球はショートへのタイムリー内野安打となる。ついに試合の均衡が破れた。


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和田 朋也(山村学園)

 

 投げては河北がこの日は山村学園打線に対し徹底したインコース攻めを見せる。この日与えた死球は何と5個。5死球は決していただけないが、そのことからも、それだけ浦和学院ベンチが捨て身になっていたことが伺える。そのインコースへの直球と外へのスライダー、横の揺さぶりで勝負し、好投手埼玉栄・米倉も打ち崩した強打の山村学園打線を封じることに成功する。

 

 なかなか捉えられない山村学園打線の反撃は最終回であった。この回先頭の櫻澤が粘った末四球を選ぶが、続くピンチバンター豊岡が送れず結局三振に倒れる。それでも8番・和田のサードへの打球がイレギュラーし内野安打となり一死一、二塁と最後の山場を迎えるが、頼みの代打益子はセカンドゴロ併殺に倒れ万事休す。

 

 結局虎の子の1点を守り切った浦和学院が、勢いに乗る山村学園を辛くも退け春6連覇へあと一勝と迫る決勝へ駒を進めた。

 

 まず山村学園だが、和田は結局最後まで浦和学院打線相手に長打、連打を許さず最少失点で切り抜けたが、この日は打線が彼を見殺しにしてしまった。本来はあれだけのインコース攻めをされると、インコースを消しに行ったり打席間で動きながら対応したりしたい所であったが踏み込んで一発長打をねらう選手が多い布陣ということもありなかなかそこまでには至らなかった。

 バントに拘った前の試合から一転、序盤は盛んに機動力を使うなど工夫は見られたが、あと一本が出なかった。だが、昨夏、昨秋と大会の3試合目に捕まった和田が、この日は最後まで相手に的を絞らせないなど成長の跡を見せた。とはいえ、和田はやや投げ過ぎている印象を受ける。夏に向け早急に2番手以降の投手に経験を積ませることが夏の上位進出へ今後の課題となるであろう。

 

 一方の浦和学院、この日は投打に活躍した河北に尽きるであろう。投手陣は佐野、渡邉が不在ながら、結局その他の投手、今日の河北や今大会エースナンバーを背負った近野などが頑張ったことでここまで勝ち進むことができた。これにより投手陣に厚みが増したことは今後へ向けての収穫だ。ただ、打線には不安が残る。ここぞという所の勝負強さは相変わらずだが、今大会を通じ特に主軸がやや低調でなかなか長打が出ず打線がつながらなかった。打線が左偏重であることもその要因であろう。現状の顔ぶれ、構成では今日のような制球の良い左投手を打つのは難しい。河北が3番に入ったのもそういう事を踏まえてであろう。今後は夏に向けてはもっと右打者を入れバランスの良い打線に組み変える必要がある。いずれにせよ、次の相手は花咲徳栄であるだけに打線がある程度打たないと厳しい展開が待ち受けるであろう。特に中前、矢野 壱晟(3年)、蛭間 拓哉(3年)など中心打者の奮起に期待したい。

 

(取材・写真=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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