試合レポート

未来沖縄vsれいめい

2018.04.21

沖縄を代表する二刀流・宜保 翔が2失点完投勝利!打ってもマルチヒット!

未来沖縄vsれいめい | 高校野球ドットコム
完投勝利を挙げた宜保翔(未来沖縄)

 本日から第142回九州地区高等学校野球大会が福岡県で開幕。開幕戦はれいめい(鹿児島1位)と未来沖縄(沖縄1位)のカードで行われた。

 先陣を切ったのは秋春通じて九州大会初出場の未来沖縄。1回表の先頭打者宮城 晴(3年)が敵失で出塁。一死二塁から、3番神里 志温(3年)が相手野手の失策を誘う強烈な打球を放ち、1点を先制する。さらに4回表、神里が高めに入ったボールを逃さず、レフトスタンドへ飛び込む今大会第1号本塁打で1点を追加。神里にとっても、練習試合、公式戦を通じても初の一発。神里自身も「高めに抜けたチェンジアップを打つことができました。自分自身、あそこまでびっくりしています」と目を丸くするほどの技ありアーチだった。

 神里の本塁打で勢いに乗った未来沖縄は、なおも一死一、三塁から6番知念 誠(3年)が相手投手の失策を誘う絶妙なスクイズを決め、3対0。さらに8番城間 孝太(3年)もスクイズ(記録は投手の野選)で1点を追加し、4対0とリードを広げた。

 未来沖縄は投げても先発の宜保 翔(3年)が出色の働きを見せる。宜保は2年秋まで遊撃手だったが、練習でブルペンに入ることが度々あり、そこで140キロ超えを記録していた実績を買われ、3月直前に故障したエース・新垣 龍希(3年)の代役として白羽の矢が立った右腕。沖縄県大会決勝戦の興南戦では完封勝利をあげ、さらに最速145キロを計測するなど、投手転向を言い渡した神山 昂監督をも「驚きました。ぐんぐんよくなっていきました」成長曲線をさらに伸ばしてきた。

 宜保は県大会までオーバー、サイドを使い分けていたが、以後はひじの負担を考え、オーバーに専念。そして力まないよう、8割~9割の力で勝負をした結果、この試合では常時130キロ前半~143キロの速球、120キロ前後のスライダー、チェンジアップ、さらに125キロ前後のワンシームを内外角に散らし、れいめい打線を5回まで無安打に抑える完璧な内容。6回裏に先頭の川畑 幸大(3年)に三塁打を打たれたのをきっかけに、二死満塁のピンチを背負い味方のミスから2点を失ってしまうも、「無安打は途切れるものだと思っていましたし、県大会から安打は結構打たれていたので、気にせず投げようと思いました」と、7回以降も淡々と自分のピッチングに専念。また打者としても、4回に二塁打、8回にも左前安打を放ち、4打数2安打の活躍。沖縄を代表する二刀流が九州初舞台で、堂々としたパフォーマンスを発揮した。

 結果、宜保は被安打2・奪三振5・失点2・119球・2失点完投勝利で、未来沖縄の九州大会初出場初勝利に貢献。試合後も「初めての相手で、最初は手探りでしたけど、打者一巡してから打者の傾向をつかめていろいろな球種を投げて抑えることができました。次の試合も楽しんでいきながら投げていきたいです」と自身の投球を冷静に振り返るクレバーさが、次戦でどのような投球内容に発展するか非常に楽しみである。

 


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最速139キロをマークした松江優作(れいめい)

 一方、試合には敗れたが、れいめいの先発・松江 優作(3年)は4回まで4失点を喫した後にしっかりと立ち直り、鹿児島を代表する左腕の片鱗は見せてくれた。

 松江は始動・テークバック・リリース・体重移動とフォーム一連の流れに無駄がない合理的な投球フォームが魅力。昨秋から取り組んできた肩甲骨の柔軟性を高めるトレーニングが、この春奏功し鹿児島県大会・準々決勝の鹿屋中央戦で、昨秋から5キロ増の143キロを計測。

 この試合でも立ち上がり130キロ前半のストレートは、回を重ねるごとにみるみる球速が上がり、最後は常時130キロ後半に。特に3番・神里の三度目の対決では、内角直球で詰まらせ二飛。第2打席でヒットを打たれた4番・宜保の第3打席では、この日最速の139キロを計測。第3打席は、遊ゴロに打たせるなど意地を見せ。

 試合後「後半は調子がだんだん上がっていきましたし、終盤は特に疲れもなく、腕を振ることができました。しっかりと気持ちを入れて投げることができてよかったと思います」と後半の投球に手ごたえを感じながらも、「まだ大事なところでボールが抜けていますし、そして4回も自分がしっかりと処理をすれば防げた失点でしたので、夏へ向けての課題だと思います」と、制球力と守備力向上を課題に掲げたれいめい・松江。彼もまた宜保同様、夏の九州高校球界をけん引する男になってくれるはずだ。

(文・写真=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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