都立東大和vs都立総合工科
長打のあとにことごとく犠牲飛球、大人の野球で東大和快勝
好打でこの日2安打の西岡君(総合工科)
爽やかな春の陽光が注ぐ中、そんな陽射しにふさわしいようなスピーディーで爽やかな試合、1時間45分のゲームだったが、内容も十分にあった。
東大和は結果としては、1~2アウトの段階での長打が出たイニングにことごとく一死三塁を作って、その後に犠牲飛球で帰すという形で得点した。まるで大学や社会人野球のような大人の野球のような得点の仕方だった。3度あったのだが、これが効いて総合工科に競り勝った。もっとも、福島靖監督は、それよりも2回に二死から失策と連打で満塁として、さらに3ボールナッシングとなったところで、消極的に「2球待て」の指示を出したことに対して悔いていた。「回は浅かったし、甘い球は打っていかせてよかったんだと思います。結果としては凡打だったとしても、そうするべきだった」と、結果的にはフルカウントから難しい球に手を出して二飛となっていただけに、ことさら痛かったという思いだった。
そして、試合としてもそのピンチをクリアして総合工科が1番からの好打順で西岡君が右前打で出ると、バントと右飛で二死三塁として、4番前原君が中前へ適時打して帰す。しかし、その裏の東大和も先頭の1番島﨑が右線二塁打すると山上君も安打で送球間に進んで無死二三塁。一死となったが、4番岡君が右犠飛を放ってすぐに同点とした。取られてすぐに取り返せたことで、ダメージは少なかったと言えよう。
総合工科は先発の杉原君に関しては、弘松恒夫監督が当初から50球程度を目安としていたこともあって、1失点だったが5回からは左腕の水上君を投入。水上君も代わったすぐの回を3者凡退で押さえて起用に応えた。こうして、投手戦の様相となっていったが、6回に東大和が次の1点を奪う。
この回の東大和も、先頭の4番岡君が左中間へ二塁打すると、続く弓場君が左前打して無死一三塁から一死となって3回と同じような場面となる。さらに四球があって一死満塁となり、ここで8番後藤君が左飛を放ってこれが犠飛となって東大和が1点リードする。
「打たれだしたら、ズルズルと行ってしまうところがあるので、終始不安だった」と福島監督が心配していた左腕三井君だったので、ブルペンでは初回から吉崎快君がずっと準備をしていたという。ところが、この日は連打されることがなく何とか持ちこたえていた。
しかし8回、総合工科はまたしても1番からの好打順を生かして西岡君が中前へポテン安打して出ると、牽制球を交わしたディレードスチールで無死二塁とし、一死三塁となってから3番のチームでもっともシュアな打者と言われている神子君が中前へはじき返して同点とした。
東大和としては、ちょっとしたスキを突かれた失点だっただけに、終盤でもあり嫌な同点のされ方でもあった。それでも、その裏、一死から岡君が前打席と同じように左中間を破りながら今度は最初から三塁狙いで好ベースランニングを見せて三塁打とした。そして続く弓場君が右翼へ犠飛を放って三塁の岡君を帰し、これが決勝点となった。
9回の総合工科は二死から代打の石原君が左前打して抵抗を見せたもののそこまでだった。結果的には、東大和の三井君は9安打されつつも2失点で完投。福島監督は、まずはシード権を取れたことを喜んでいた。そして、今のチームに関しては、「考えることをテーマとしてやっていますから、それぞれが考えながらやることをしっかりとやれていると、いい形にはなります」と納得していた。
今春から、総合工科は有馬信夫前監督の足立新田への異動に伴って就任した弘松監督がこの大会らの采配となったが、「この大会で、まずは3試合できたことは、よかったと思います」と素直な気持ちを述べた。それでも、この試合に関しては同じ打者に同じようなところを2度抜かれて長打された岡君の打球を具体的にあげて、「外野のポジショニングなどの指示を徹底しきれなかったところがありました。それにサインミスもありましたので、そのあたりを夏へ向けて、しっかりとやっていきたい」と切り替えていた。
(取材・写真=手束 仁)