試合レポート

桜美林vs都立江戸川

2018.04.06

桜美林、阿部の3ランで都立江戸川を突き放し3回戦進出

桜美林vs都立江戸川 | 高校野球ドットコム
本塁打の3番・阿部健太郎(桜美林)

 桜美林[team]は昨年の秋季大会で[team]二松学舎大付に守り勝つなど、投手を中心とした守りに定評がある。対する都立江戸川は、学校のグラウンドのゲージでしっかり打ち込んだ強打のチームを毎年作ってくる。

 江戸川は背番号10の船津遼太桜美林は秋の松学舎大付戦でも好投した背番号3の久富大輔が先発した。

 久富は、今は完治しているが、肘を痛めた影響で、投げ込みが十分でない。したがって、秋ほどの球威はないが、それでも要所は締める。

 3回表桜美林は一死後9番・小林蓮が左前安打で出塁すると二盗し、1番・山本純平の右飛で三塁に進み、2番・山本悠人の投ゴロを、一塁に悪送球し、まず1点を入れる。

 5回表桜美林は、安打2本と四球1個で無死満塁となり、1番・山本純の中犠飛で1点を追加。なおも走者を2人置いて、3番・阿部健太郎は、レフト柵越えの3ランを放ち、桜美林が一挙に突き放す。試合途中から、ライトからレフト方向に強い風が吹き始めた。阿部の本塁打も風の影響を受けている。
「あのホームランはカウント2-2から打たれましたが、次の球はボール球のサインを出していました。ピッチャーもフォアボールになるのが怖いのか、勝負にいってしまいました」と江戸川の橋本康徳監督は語る。江戸川は昨年のメンバーで残っている選手は少なく、実戦経験を積めていない。そうした中で、数少ない経験者である若林暖吉野陸人の活躍で追い上げる。

 5回裏江戸川は、7番・若林の打球が風にも乗って本塁打となり1点を返す。さらに9番・佐藤輝希の二塁打に続き、吉野の左前安打で走者を進め、2番・渡部彩人の内野ゴロの間にさらに1点を返す。吉野はこの試合4打数4安打と大当たりであった。しかしながら、2番打者から6番打者まで安打がなかったことが、響いた。

 桜美林は「つなぐ意識を徹底しました」と工藤真彦監督は言う。その成果で、6回表に小林蓮の三塁打などで1点、7回表には7番・中嶋大夢が走者2人を生還させる二塁打を放って試合を決めた。中嶋はこの試合3安打。秋の二松学舎大付戦でも決勝打を放っており、下位打線ながら勝負強い打撃が光った。

結局9-2で桜美林が勝ち3回戦に進んだ。
 江戸川は都立校としては、力のある選手が揃っている。この日投げた船津も、球そのものには威力がある。ただそれをどうみせるか、配球が重要になる。攻守ともこれから練習試合などで実戦経験を積んでいく中で身に付けていく必要があるが、「どうも練習試合は、練習試合と思ってしまう」と江戸川の橋本監督は言う。この大会で「今までが井の中の蛙で、現実は甘くないことが分かったはずなので、薬にしたい」と橋本監督は語った。

 勝った桜美林は、3回戦は夏のシード校の座をかけて早大学院と対戦する。桜美林は1976年の第58回大会で全国制覇を果たしているが、2002年の第84回大会以後、甲子園から遠ざかっている。「生徒を連れて甲子園歴史観に行って、ユニホームが展示されているのを見ました。歴史の誇りとかは、分かっています」と桜美林の工藤監督は言う。桜美林の全国制覇は、今の選手たちが生まれるはるか前の話であり、学校を取り巻く状況も当時とは違うが、それでも桜美林のユニホームに誇りをもって、試合に臨んでいる。

(文=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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