試合レポート

大阪桐蔭vs駒大苫小牧

2017.11.11

大阪桐蔭に健闘の駒大苫小牧、惜しまれる連携ミス

大阪桐蔭vs駒大苫小牧 | 高校野球ドットコム
先発・大西海翔(駒大苫小牧)

【写真ギャラリー追加!】

 今年のセンバツの優勝校で、その時のメンバーが多く残り、来年のセンバツでも優勝候補筆頭の呼び声が高い大阪桐蔭の登場。朝8時30分に試合が始まる頃には、入場券を求める列が外野まで延びていた。観衆は1万6000人。試合開始30分後には、第2内野席を除き、内野席はほとんど埋まっていた。

 大阪桐蔭の相手は、北海道大会で打撃戦を勝ち抜き優勝した駒大苫小牧大阪桐蔭駒大苫小牧といえば、2005年の夏の甲子園で、田中 将大(現ヤンキース)擁する駒大苫小牧が、元巨人の辻内 崇伸平田 良介(現中日)、中田 翔(現日本ハム)らを擁する大阪桐蔭を延長の末破った試合が思い出せれる。しかし今は、駒大苫小牧は挑戦者の立場だ。それでも2004年の全国制覇のメンバーでもある佐々木孝介監督は、「僕らは北海道代表として日本一を目指してきている。大阪桐蔭だからということは関係ない」と語り、プライドをのぞかせる。

 駒大苫小牧の先発・大西 海翔の丁寧な投球に加え、内外野のしっかりとした守りで、1、2回は大阪桐蔭に得点を与えない。

 大阪桐蔭の先発・横川 凱も3回を終えた時点で駒大苫小牧打線を1安打に抑える。

 得点が入ったのは3回裏、大阪桐蔭の攻撃だった。一死後、横川がレフト線への二塁打を放つと、1番・藤原 恭大も左前安打で続く。2番・宮﨑 仁斗は遊撃手への強襲安打で満塁とする。これは、駒大苫小牧の遊撃手・石川 楓雅がよく抑えたという打球だった。これで一死満塁。

 続く3番・中川 卓也は二ゴロ。二塁手の大槻 龍城は、本塁に投げるものと思っていたが、突然併殺狙いで二塁に送球。二塁に入る遊撃手・石川との連携が噛み合わず、暴投となり、2人が還る。「いつもなら、ゲッツーですが、ホームに投げるよう指示していました。連携がうまくいきませんでした」と、駒大苫小牧の佐々木監督は語る。

 さらに負の連鎖は続き、4番・根尾 昂の強い一ゴロを、一塁手・舞原 陽和は好捕したものの、二塁への送球が暴投となり、大阪桐蔭がさらに1点を追加した。


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本塁打を打ちベースを1周する宮﨑仁斗(大阪桐蔭)

 駒大苫小牧はよく戦っていただけに、この回のミスによる失点は痛かった。

 それでも駒大苫小牧の佐々木監督は、大阪桐蔭にもスキはあるとみていた。そこを突いたのが、5回表の攻撃だった。

 この回先頭の5番・白田 悠祐がセンターオーバーの二塁打で出塁すると、6番・横地 颯はライト前に落ちる安打で一、三塁。7番・小林 海斗の中前安打でまず1点。8番・小出 皓太が送って一死二、三塁とし、9番・大西の二ゴロで横地は本塁を突くもアウト。チャンスはついえたかにみえたが、なおも二死一、三塁で、1番・大槻は四球。本来なら一塁走者は自動的に進塁となるが、最後の球がやや微妙なコースであった上に、一塁走者の大西がスタートを切っていたこともあり、捕手は二塁に送球。そのスキに三塁走者の小林は本塁を陥れる。スライディングをした小林の足が一瞬早く、駒大苫小牧が1点差に追いついた。

 大阪桐蔭の一瞬の隙を突いた攻撃であったが、その裏、大阪桐蔭は、西谷浩一監督が「しぶとい選手なので、1番打者でもいい。ここに来て、ぐっと来ています」と期待する2番の宮﨑がレフトスタンドにライナーで入る本塁打を放ち、突き放す。

 大阪桐蔭は6回表からエースの柿木 蓮が登板。柿木は4回を安打1本に抑え、駒大苫小牧の反撃を許さない。

 3回は守りのミスで失点した駒大苫小牧であるが、後半は好守でエースの大西を助け、大阪桐蔭に追加点を許さず、4対2で大阪桐蔭が勝ち、準決勝進出を決めた。

 勝った大阪桐蔭であったが、本盗を決められるなど、守りのミスもあっただけに、西谷監督は、「まだまだ力不足。守りのミス、情けないミスもありました」と語る。もっとも厳しい言葉も、意識の高さがあるからこそ。この大会に関しては、「いいチームとやらしてもらえるので、しっかり力をつける試合にしたい」と語った。

 敗れた駒大苫小牧は、よく戦ったという印象はあるものの、佐々木監督は「受けてしまった」と反省する。それでも、全国のトップレベルのチームと試合ができたのは収穫であった。ただ善戦から一歩先に進むには、「今までの倍やるとか、規格外の練習をするしかありません」と語った。今後の成長も含め、春の戦いに期待が持てる戦いであったことは確かだ。

(文=大島 裕史
(撮影:img034… 佐藤純一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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