大阪桐蔭vs駒大苫小牧
大阪桐蔭に健闘の駒大苫小牧、惜しまれる連携ミス
先発・大西海翔(駒大苫小牧)
今年のセンバツの優勝校で、その時のメンバーが多く残り、来年のセンバツでも優勝候補筆頭の呼び声が高い大阪桐蔭の登場。朝8時30分に試合が始まる頃には、入場券を求める列が外野まで延びていた。観衆は1万6000人。試合開始30分後には、第2内野席を除き、内野席はほとんど埋まっていた。
大阪桐蔭の相手は、北海道大会で打撃戦を勝ち抜き優勝した駒大苫小牧。大阪桐蔭と駒大苫小牧といえば、2005年の夏の甲子園で、田中 将大(現ヤンキース)擁する駒大苫小牧が、元巨人の辻内 崇伸や平田 良介(現中日)、中田 翔(現日本ハム)らを擁する大阪桐蔭を延長の末破った試合が思い出せれる。しかし今は、駒大苫小牧は挑戦者の立場だ。それでも2004年の全国制覇のメンバーでもある佐々木孝介監督は、「僕らは北海道代表として日本一を目指してきている。大阪桐蔭だからということは関係ない」と語り、プライドをのぞかせる。
駒大苫小牧の先発・大西 海翔の丁寧な投球に加え、内外野のしっかりとした守りで、1、2回は大阪桐蔭に得点を与えない。
大阪桐蔭の先発・横川 凱も3回を終えた時点で駒大苫小牧打線を1安打に抑える。
得点が入ったのは3回裏、大阪桐蔭の攻撃だった。一死後、横川がレフト線への二塁打を放つと、1番・藤原 恭大も左前安打で続く。2番・宮﨑 仁斗は遊撃手への強襲安打で満塁とする。これは、駒大苫小牧の遊撃手・石川 楓雅がよく抑えたという打球だった。これで一死満塁。
続く3番・中川 卓也は二ゴロ。二塁手の大槻 龍城は、本塁に投げるものと思っていたが、突然併殺狙いで二塁に送球。二塁に入る遊撃手・石川との連携が噛み合わず、暴投となり、2人が還る。「いつもなら、ゲッツーですが、ホームに投げるよう指示していました。連携がうまくいきませんでした」と、駒大苫小牧の佐々木監督は語る。
さらに負の連鎖は続き、4番・根尾 昂の強い一ゴロを、一塁手・舞原 陽和は好捕したものの、二塁への送球が暴投となり、大阪桐蔭がさらに1点を追加した。
本塁打を打ちベースを1周する宮﨑仁斗(大阪桐蔭)
駒大苫小牧はよく戦っていただけに、この回のミスによる失点は痛かった。
それでも駒大苫小牧の佐々木監督は、大阪桐蔭にもスキはあるとみていた。そこを突いたのが、5回表の攻撃だった。
この回先頭の5番・白田 悠祐がセンターオーバーの二塁打で出塁すると、6番・横地 颯はライト前に落ちる安打で一、三塁。7番・小林 海斗の中前安打でまず1点。8番・小出 皓太が送って一死二、三塁とし、9番・大西の二ゴロで横地は本塁を突くもアウト。チャンスはついえたかにみえたが、なおも二死一、三塁で、1番・大槻は四球。本来なら一塁走者は自動的に進塁となるが、最後の球がやや微妙なコースであった上に、一塁走者の大西がスタートを切っていたこともあり、捕手は二塁に送球。そのスキに三塁走者の小林は本塁を陥れる。スライディングをした小林の足が一瞬早く、駒大苫小牧が1点差に追いついた。
大阪桐蔭の一瞬の隙を突いた攻撃であったが、その裏、大阪桐蔭は、西谷浩一監督が「しぶとい選手なので、1番打者でもいい。ここに来て、ぐっと来ています」と期待する2番の宮﨑がレフトスタンドにライナーで入る本塁打を放ち、突き放す。
大阪桐蔭は6回表からエースの柿木 蓮が登板。柿木は4回を安打1本に抑え、駒大苫小牧の反撃を許さない。
3回は守りのミスで失点した駒大苫小牧であるが、後半は好守でエースの大西を助け、大阪桐蔭に追加点を許さず、4対2で大阪桐蔭が勝ち、準決勝進出を決めた。
勝った大阪桐蔭であったが、本盗を決められるなど、守りのミスもあっただけに、西谷監督は、「まだまだ力不足。守りのミス、情けないミスもありました」と語る。もっとも厳しい言葉も、意識の高さがあるからこそ。この大会に関しては、「いいチームとやらしてもらえるので、しっかり力をつける試合にしたい」と語った。
敗れた駒大苫小牧は、よく戦ったという印象はあるものの、佐々木監督は「受けてしまった」と反省する。それでも、全国のトップレベルのチームと試合ができたのは収穫であった。ただ善戦から一歩先に進むには、「今までの倍やるとか、規格外の練習をするしかありません」と語った。今後の成長も含め、春の戦いに期待が持てる戦いであったことは確かだ。
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