試合レポート

星城vs栄徳

2017.11.04

追いつ追われつの展開は延長10回、星城が粘りの押出サヨナラ勝ち

星城vs栄徳 | 高校野球ドットコム
優勝した星城の選手たち

 言うならばこの秋の尾東地区の雄を決する試合である。お互いに力のある学校同士で、期待にたがわぬ好試合となった。もちろん、試合内容に関して注文を言えばいくらか課題はあるのかもしれない。だけど、秋のこの時期としては、内容的にも質の高い戦いだったといっていいのではないだろうか。

 夏の愛知大会準優勝の栄徳は、その主力メンバーとして中軸を打っていた野口 泰司君と石原 水輝君などが残ったが、ことに野口君に関しては愛知県ではこの秋のチームでは、一番の捕手と言ってもいいくらいの高い評価を受けている。その野口君に対して星城バッテリーがどう対処していくのかというところも注目だった。結果的には、野口君に対して、星城の1年生投手の石黒 佑弥君は、別に意識し過ぎたわけではないだろうが、4打席をストレートの四球で歩かせてしまった。2つの押出もあった。野口君はボール球には決して手を出さないという選球眼の良さと冷静さも光った。

 そして、唯一勝負した5打席目、しっかりと持ち前の柔らかいスイングで左中間へ運んでいく二塁打を放ったのは見事だった。ただ、結果的には、野口君と勝負しなかったことが、星城としては失点最小限に食い止めて、これが7回の同点、そして最後は10回のサヨナラに繋がっていったということとなった。

 試合展開を振り返ると、先制したのは星城だった。2回に、二死二塁から9番南君が右越二塁打で帰し、さらに1番谷村君の左前打で南君も帰して2点をリードする。



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5回に逆転の3ランを放って本塁へ向かう星城・藤田健太朗君

 しかし栄徳も5回、二死満塁から押し出しと、2番安藤君の左中間を破る三塁打で走者を一掃して逆転した。星城はその裏に、藤田君が3ランを放って再び逆転するが、栄徳は6回に下位打線で3安打を集中して、野口君のこの試合2つ目の押出などで再度リードを奪う。

 こうして、試合はどう転んでいくのか全くわからない展開となっていった。そうした中、星城は7回に先頭の小林令和君が三塁打すると、一死後4番木村君が会心の一打といってもいい中越二塁打を放って、ついに同点とした。そのまま試合の行方も混沌となっていったのだが、8回から栄徳の中野幸治監督は松原君に代打を出したこともあって、8回からは2番手として山田君を投入した。その山田君も8、9回と押さえて試合は延長に突入していった。

 延長10回に栄徳は、先頭の千田 勇介君が右線二塁打して、バントで進め一死三塁となったものの攻めきれなかった。そしてその裏、星城は先頭の長坂君が四球で出ると、バントで二塁へ進んだ後に、7番大野君の三遊間を破る一打で一三塁。代打深谷君は敬遠気味の四球で満塁となって、その後に二死満塁となったが、1番谷村君に対して山田君は厳しいコースを突いていったのだが、結局押し出しとなってしまい、これがサヨナラの得点となった。

雨などで日程がずれ込んで、星城としてはホームグラウンドでの試合となった尾東大会の決勝となった。その試合を強豪の栄徳をサヨナラで下したことで面目を保った。

 就任3年目となる平林宏監督は、「ボクが来てから、初めて、尾東大会とは言えどもこうして冠をとれたことはやはり嬉しいです」と、素直に喜びを表した。そして、「来シーズンへ向けても、いい自信にもなるでしょうし、試合展開としても、大事なところでしっかり守れるかどうかということを改めて確認できたし、試合としては粘って勝てたということの意味は大きかった」と、この勝利を単なる地域大会の制覇ということだけではなく、来季へ向けてのチームづくりの指針としても大きな要素となっていたということを再認識していた。

 

(文=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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