佼成学園vs国士舘
佼成学園、攻撃的な守りで国士舘を下し、50年ぶりの決勝進出!
先発・中村陸人(佼成学園)
国士舘も佼成学園も、ここまで伴に守り抜いて勝ち上がってきた。特に国士舘の先発・石井 峻太は、3回戦の早稲田実戦は被安打4の完封だったのをはじめ、この大会では得点を許していない。
一方佼成学園は準々決勝まで先発だった青木 翼でなく、準々決勝の8回からリリーフに立った、故障から戻ってきたもともとエースであった中村 陸人を、「今が旬ですから」(佼成学園・藤田直毅監督)と、先発に立てた。
先制したのは、国士舘であった。2回表、この回先頭の5番・田中 勇祐がセンターオーバーの三塁打で出塁すると、7番・門間 大樹の二ゴロで生還した。国士舘はエースの石井が先発しているだけに、この1点は重いかと思われたが、その裏佼成学園は、あっさり逆転する。
2回裏佼成学園は、5番・斉藤 功大、7番・江原 秀星の安打に、9番・岡田 舜の四球で二死満塁とし、打席には1番の笹渕 勇武。投手のモーションのように足を高く上げてタイミングをとるのが特徴的な笹渕は、粘った末に7球目を二塁手の頭を越えて、右中間を破る打球を放つ。これが、満塁の走者を一掃する三塁打となった。国士舘の永田昌弘監督が「計算外」と言う、石井投手からの3点となった。
この大会の国士舘は、打撃は湿りがちではあるものの、この3点で勝てるほど、甘くはない。それでも佼成学園は、守備においても攻撃的な、思い切りの良いプレーで必死に守る。
国士舘としては、3点を奪われ反撃したい3回表、この回先頭の9番・石井の打球を、中堅手の岸川 智哉がダイブしてキャッチ。反撃の芽を摘む。
先発・石井崚太(国士舘)
それでも国士舘は4回表に、この回先頭の3番・内藤真が四球、4番・嶋崎 優介の中前安打、さらに5番・田中の遊ゴロで、打球と走者が重なり、捕球しにくかったこともあり遊撃手がエラーし、満塁となる。続く6番・三井 翔太の初球が暴投になり、内藤真が生還。1点差に迫った。それでも三井が一飛に倒れ、続く門間は二ゴロ。三塁走者の嶋崎が本塁を狙い、微妙なタイミングであったが、佼成学園の捕手・江原がうまくタッチし、同点にはならない。
5回表二死後、2番・内藤晃に死球を与えた後、佼成学園の先発・中村の球威が落ちたことを感じた藤田監督は、3番・内藤真に1球投げたところで、この大会好投している青木に交代した。「いつでも行ける準備はしていました」と言う青木。3番・内藤真の内野安打などでピンチとなったが、4番・嶋崎の打球を中堅手・岸川が好捕し、得点を与えない。
一方国士舘は3回裏の途中から石井に代わり、同じく左腕の草薙 柊太が登板。速球投手と言われる草薙だが、この試合では変化球を有効に使い、追加点は許さない。3対2の緊迫した試合で、変化球を駆使して好投する青木を、佼成学園の内外野が、思い切った攻めの守りによる好守で応え、国士舘も得点を挙げることができない。
青木は5回にリリーフしてから、毎回走者を出しながらも得点は許さず、1点差のまま逃げ切った。
国士舘の永田監督にすれば、「どうしてこうなったのか」と、首をひねる試合になった。石井、草薙に、準々決勝で奪三振16の井田 尚吾という左の3本柱を擁し、優勝を狙える位置にいたが、2回の3失点が大きく響いた。それに、この試合も5安打と不振であった、打力のアップが、春以降の課題となった。
勝った佼成学園は、決勝戦で日大三と対戦する。秋季都大会での決勝進出は何と50年ぶり。この時は、日大三に敗れている。佼成学園は5年前の西東京大会の決勝戦でも日大三に激戦の末に敗れ、2年前と6年前の春季都大会の決勝戦でも日大三に敗れている。「やっと三高にたどり着きました」と言う佼成学園の藤田監督の言葉に、リベンジのチャンスが来たという思いが伝わってくる。かつて立教大学の助監督でもあった藤田監督は、この春、立教大学が大学日本一になったことに、「刺激を受けました」と語る。その勢いで、積年のライバルである日大三にリベンジできるか。日大三の強力打線と、佼成学園の攻撃的な守りの対決が注目される。
(文=大島 裕史)
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