大成vs大府
5点差を大成が後半にひっくり返すも大府が9回に追いつき延長の末、大成がサヨナラ
6回の大反撃の口火を切った山田君(大成)
秋晴れの文化の日。好天の下、3時間半の熱戦が展開されていった。
初回に一死から4連打と犠飛であっさりと2点を先取した大府。3回にも、1番宇佐美君の右前打から始まり、3番安達君の右越二塁打に暴投と、浅野君の左前打、伊藤 尚輝君の犠飛などで3点を加えて、5対0と大きくリード。4回まで、大西君がしっかりと0に抑えており、そのまま逃げ切っていくのかという展開だった。しかし、「夏を見据えると、しっかりと投げられる投手を育てておきたい」という野田雄仁監督の考えもあって、5回からは1年生の近藤 優希君を送り出したが、5回は3人で退けたもののが6回に掴まった。
この回の愛知大成、先頭の2番山田君が中越三塁打。一死後、太田君の内野ゴロの間に生還してまず1点を返す。さらに松岡君の中前打と四球に途中出場の服部 竜介君の中前打で満塁として、ここで8番横井君が走者一掃の中越二塁打してたちまち1点差となった。たまらず、大府は3人目として奥平君をつぎ込んだ。
これで一気に追い上げムードが高まった愛知大成は、7回にも奥平君を捕まえて、先頭の1番長谷川君が中越三塁打すると、前回と同じように内野ゴロで生還してついに同点。さらに中前打の太田君を松岡君が三塁打で帰して逆転となった。愛知大成は6回と7回の2イニングだけで、三塁打3本と二塁打1本と長打攻勢だった。
たまらず、大府ベンチは一塁へ下がっていた大西君を再びマウンドに戻した。
1点を追いかける形になってしまった大府は、愛知大成の3人目、近藤聖君を打ちあぐねていたが9回、無死一三塁をスクイズ失敗などで潰しながらも結局一死二三塁から大川君がスクイズを決めて同点とした。ただ、さらにチャンスが続いていたが、追加点は取り切れず結局延長となった。
延長になって、試合はやや膠着してきて、13回からはタイブレークが予定されていたが、12回に試合はもう一度動き出した。
3回にタイムリー打を放った浅野君(大府)
大府は二死走者なしから8番大西君があわや本塁打かという右越二塁打を放つと、9番に入っていた猪飼君が遊撃手の頭上を越える中前打で二走を帰してついにリードを奪う。これで決着がついたかと思われたが、愛知大成はしぶとく粘りを見せた。
その裏、先頭の2番山田君が四球で出ると、バントで送り一死二塁となったところで4番太田君が左翼手頭上を破ってこれが同点三塁打となる。さらに四球後、6番に入っていた松本君が中前へはじき返して、これがサヨナラ打となって、愛知大成が二転三転した。
10月は週末ごとに雨や台風となって、ほとんど試合が出来ていない状態でもあっただけに、いくらかミスもあったが、県大会の後で、こうした試合を戦えたことは、お互いにチームとしては意義があったのではないだろうか。
愛知大成の山岡大祐監督は、「力のあるチームが相手でしたから、継投で何とかと思っていましたが、6人の投手フル稼働で何とか勝てました」と辛勝した試合を振り返っていたが、「よく粘って返すことが出来た」と、6回、7回の集中打を評価していた。そして、再逆転した粘りも、チームとして諦めずに戦う姿勢の表れとなっていた。
柔道部は全国レベルの強豪として知られている愛知大成だが、野球部も隼強化部となって2年目。徐々に実績を作りつつあるようだ。
序盤のリードを守り切れなかった大府の野田監督は、「勝てる試合というか、勝たなくてはいけない試合でしたけれども…」と、残念がった。そして、「夏を意識していくと、ベスト8までは何とか行ける自信はあるのですが、その先を勝ち上がっていくためには、もう一つ力をつけていかないといけないのでしょうね。そのためには、投手もしっかりと作っていかないといけません。そんな積もりでの戦いだったんですけれども…」と、リードを守り切れなかったことを反省していた。それでも、この日にスタメンで起用した浅野君が、3安打するなど、新たな力も台頭してきてチームとしては競争が激しくなってきていることで、底上げは出来ているという実感は得ていた。それだけに、「来年春には、もっと力をつけていますから期待してください」と、さらなるチーム力アップを誓っていた。
(文=手束 仁)
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