帝京vs明大中野
帝京・笹川、6打点の活躍で、追い上げる明大中野を突き放す
笹川の三塁打で満塁の走者生還(帝京)
今年の10月は雨が例年になく多いが、特に週末は雨続き。3回戦が行われたこの日も、時折小雨が降る天気の中で、試合が行われた。
勝てば中1日で日大三との対戦が予想される中、帝京としては、できるだけ戦力の消耗を減らしたいところだ。背番号19の眞野 優太が先発のマウンドを踏む。しかし明大中野も実力のあるチーム。1回裏1番の杉浦 駿が右中間を破る二塁打を放つ。それをみた帝京の前田三夫監督は、「これでは勝負にならない。松澤には、ダメならすぐに代えると言っていました」と語るように、打者に1人に投げただけで、投手をエースの松澤 海渡に代える。松澤は後続の打者をしっかり抑えて得点を許さず、帝京に流れを持ってきた。
明大中野の先発は、右腕の石川 雄大。古くは日本ハムなどで活躍した武田一浩、最近では昨年のエースである川西 雄大(日大)など、明大中野の伝統ともいうべき、サイドスロー系の投手だ。
石川は、1、2回は走者を出しながらも帝京を無得点に抑えていたが、3回表につかまる。一死後、1番・志田 太陽の二塁打、2番・遠藤 十壮琉の左前安打、3番・田中 悠我の四球で満塁とし、4番・白石 結太の左前安打でまず1点。続く5番・トラン・ヒー・キエンの一ゴロをとった一塁手の本塁送球が暴投になり1点を追加。「帝京のようなチームと試合をする時は、ミスをしたらダメです」と、明大中野の岡本良雄監督が言うように、チームの動揺が収まらない間に、続く6番・笹川 太輝は、センターオーバーの三塁打を放ち、満塁の走者が還り、この回一挙5点を挙げた。
松澤 海渡(帝京)
帝京は5回表にも、二塁打の田中をトランが中前安打で還し、1点を追加する。
このままコールドゲームかというペースであったが、この日の松澤は調子が今一つで、7回裏明大中野打線につかまる。6回から石川に代わり登板している左腕の伊井 颯也がこの回の先頭打者で、左前安打で出塁すると、8番・森本 琢己も左前安打で続き、9番・伊藤 晴一郎の四球で満塁。2番・明新 大地の中前安打で1点を返すと、3番・吉田 聖悟は左中間を破る二塁打で満塁の走者を一掃し、この回一挙4点。試合は分からなくなってきた。
帝京の前田監督は、「変化球を狙われているのが分かっていても、変化球を放らせる」と、捕手のリードに問題があったと指摘する。それでも、松澤は何とか踏ん張り、さらなる追い上げは防ぐ。
9回表は、1番・志田がこの試合2本目となる二塁打で出塁すると、3番・田中、5番・トランへの四球で満塁とすると、3回に走者一掃の三塁打を放っている笹川を迎える。勝負強い笹川は、ここでもセンターオーバーの二塁打で満塁の走者を一掃し、追い上げる明大中野に止めを刺した。
帝京としては、やや不満の残る試合であったが、しっかりと勝利を物にした。準々決勝は、日大三との対戦になる。ここが大きなヤマ場であることは間違いない。
一方、敗れた明大中野の岡本監督は、「帝京とやって、力がないことを思い知らされました。石川も、もう少し粘るようにしないと」と語る。強豪・帝京と対戦したことで、より高い意識で冬の練習に臨むことができるのは、大きな収穫でもある。
(文=大島 裕史)
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