駒大苫小牧vs旭川実
駒大苫小牧が4年ぶり5回目のV！旭川実、猛反撃も及ばず
4年ぶり5回目の優勝を果たした駒大苫小牧ナイン
両チームとも17安打ずつの壮絶な打撃戦を制した駒大苫小牧が4年ぶりに秋の全道大会を制した。
3回に旭川実に先制された後、追う展開だった駒大苫小牧。3点差の4回、九番・大西海翔投手（2年）のタイムリーに、相手のミスなどで1点差に詰め寄ると、なおも二死一塁で三番・舞原陽和内野手（2年）の打席。
「自分は初球をいかないと結果が出ないバッターなので、初球を思い切り振っていくことを意識していました」とフルスイング。
打球はレフトスタンドに飛び込む逆転2ラン。佐々木孝介監督も戻ってきた舞原内野手を思わず抱きしめる大きな一発で駒大苫小牧が初めてリードを奪った。この後も三連打で一挙5点のビッグイニング。さらに7回にも打者9人の攻撃で再び5点を奪い、先発全員安打でゲームを優位に進めた。
先発の大西投手は6回を投げ自責点3。二番手の鈴木雄也投手（2年）が2イニングを繋ぐと、9回にはライトに回っていた大西投手が再びマウンドへ。旭川実打線の猛反撃で2点差まで迫られるが何とか逃げ切り、187チームが参加した秋の北海道の頂点に上りつめた。
佐々木孝介監督（駒大苫小牧）
場内インタビュー
駒大苫小牧・佐々木孝介監督
「昨日、延長で大西と鈴木のピッチャー陣の疲労がかなりたまっていたので、何とか野手でという気持ちで送り出しました。野手が頑張ってくれてピッチャーを助けてくれたのかなと思います。1回と2回がつながりがなかったので、もう1回気を引き締めてやるぞという中で取れた点だったので非常に大きかったと思います。
夏の大会が終わってから練習試合もほとんど負け続けて、勝てないんじゃないかと思って、2年生にはかなり厳しいことを課してきました。ただ、去年からこの2年生の代には絶対にやるんだというかけ声をかけてきて、やってくれたので、感無量です。秋は波のある展開が多いと思っています。それは反省として次に繋げていきたいし、流れに乗った時の強さというものは、一つ旭川実さんより上回っただけなのかなと思います。
まだまだこの子たちは伸びるチームだと思っています。学校生活を含めて、もう一度気を引き締めて、センバツに選ばれるように頑張っていきたいと思いますので、高校野球ファンの皆様、今後とも応援のほどよろしくお願いします。」
舞原陽和内野手（駒大苫小牧）
逆転2ランの舞原陽和内野手
「すごく気持ち良いです。とにかくホームランは考えずに、次の打者にしっかり繋ぐことを考えて打席に立ちました。自分は初球をいかないと結果が出ないバッターなので、初球を思い切り振っていくことを意識していました。
（打球が伸びて）気持ち良かったです。前の試合では思い切りがなかったので、今日はチームに勢いづかすためにも、思い切りを意識しました。今年のチームは技術がない分、気持ちで押していくのが強さだと思います。スタートラインに立てたので、目標としていた場所なので、（神宮と春に）日本一を獲って帰ってきたいと思います。」
旭川実ナイン
最後までどうなるかわからない超打撃戦。旭川実に5つ、駒大苫小牧に3つの失策が出るなど大味なゲームになったが、勝負のポイントに好守備を挙げたい。
場面はグラウンド整備後の6回表、旭川実の攻撃。先頭の5番・熊谷元稀（2年）がライトへ二塁打を放つと、続く六番・笹原颯太（2年）もライト前へと落とした。今大会積極的な走塁が目立っていた旭川実は、この打球で熊谷が本塁へ突っ込んだ。だが、駒大苫小牧のライト・高嶋雷哉（2年）は冷静に対応。
矢のようなバックホームで熊谷は本塁でタッチアウトになった。
「絶対に三塁を回ると思っていた。準備はできていました」と喜んだ高嶋。続く7回には先発の大西がライトを守った関係でレフトに回ると、前への打球でダイビングキャッチ。振り返れば準決勝でもセンターの守備で超ファインプレーを見せている。
「外野はどこでも守れます」と自信を持つ背番号7の守備で、6回と7回の旭川実の攻撃に0をつけた。
一方、今大会でこだわってきた走塁と打撃が随所に光っていた旭川実。坂口新（あらた）監督にあの6回の熊谷の本塁突入を試みた走塁を聞いた。グラウンド整備後の6回で点差は2。無死という状況である。
「二死であれば本塁に突っ込むのはOK。ただ、追い上げる展開の中で、（一、三塁で）ランナーが残された方が相手はイヤだろうなと思います。三塁ランナーコーチの課題ではあるのですが、走らせなくても良かったかなと思って本人には伝えました。暴走とまではいかないですが、無死でしたからね」。
結果論だけで言ってしまうと、失敗に終わった。だが、積極的な走塁の中にも、状況によって色々ある。その部分をどう考えるか。走者はもちろん、旭川実の全選手にとって大きな勉強となった場面ではなかったのではないだろうか。
（文・写真＝松倉 雄太）
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