都立葛飾野vs工学院大附
葛飾野が8回、集中打で逆転
有馬 丈一朗(葛飾野)
新チームが出来て、約2カ月半。それぞれのチームが、いろんな思いを抱えながら夏休みを過ごし、練習の成果を発表するのが秋季大会だ。東京都の場合は、一次ブロック予選を2試合(組み合わせにっては1試合)を勝ち上がってきたチーム64校が終結しての本大会となる。
都立葛飾野は有馬 丈一朗君、工学院大附は20をつけた小俣 皆人君、ともに右オーバースローのオーソドックスなタイプだが、初回はお互いに3者凡退で退け、それぞれに非常にいい滑り出しで「投手戦になっていくのかな」という印象だった。
先制したのは工学院大附で3回。先頭の7番森山君が遊撃深いところへの内野安打で出ると、細渕君はしっかりと送る。そして、二死となって1番玉田君が中前へはじき返して、二走の森山君を迎え入れた。玉田君は、その後すぐに二塁盗塁を決めると、四球後に濱田君が投手のグラブをはじく内野安打で、ボールがやや跳ねてこぼれる間に、玉田君が本塁を陥れた。わずかなスキを突いた好走塁が光った。
工学院大附は5回にも一死から玉田君が四球で出ると、またしても初球で二盗を決め、さらに暴投で三塁へ進むと、濱田君が二塁手と中堅手の間に落とすポテン安打で玉田君が帰った。玉田君が出て、濱田君が帰すというパターンでの工学院大附の得点は、雨宮啓太監督としてもイメージ通りと言ったところであろうか。
何とか早いタイミングで反撃したい都立葛飾野は5回、一死後有馬君、山本崇晃くんと下位に入っているバッテリーの連打と9番横須賀君の班と安打で満塁として、1番梅澤君の左前打で1点を返し、さらに一死満塁で、併殺崩れの間にもう1点を返して1点差とした。
小俣皆人(工学院大附)
1点差のまま試合は終盤に差し掛かっていったが、工学院大附打線が6回以降やや単調になってきていたところが気になっていた。それだけ、都立葛飾野の有馬君が投球リズムが出てきたということもあったのだろうが、8回、都立葛飾野はその有馬君の自らの安打からチャンスを作る。
バントで進めて一死二塁とすると、守備固め適用されていたということだがこの試合では、5回に巧みにバント安打を決めるなどラッキーボーイ的な存在になっていた9番横須賀君が内野安打で一三塁。ここで1番梅澤君が中前打して、これで同点。さらに賀澤君も続いて満塁としたところで、この日は兆しか上がっているということで3番に起用された谷山君が期待に応えて中前打で2者を帰して逆転となった。この回、5安打を集中させた見事な逆転劇だった
工学院大附は、9回に代打の菅沼君が安打して意地を示したものの、最後は有馬君が投げ勝った
この春に、南葛飾から異動してきて就任した海洲安希央監督は、「どちらかと言うと、先行して逃げ切っていくという試合の戦い方なので、こういう展開はあまり慣れていない中で、よく返してくれました。8回は、いい場面で一番信頼できる梅澤に回ってきたのもめぐりがよかったですね。本来3番を予定していた選手が腰痛で出場できなくて、代わりに谷山が調子も上がってきていたので3番に置いたのですが、よく打ちました」と、それぞれの選手が起用に応えて役割を果たしたことを喜んでいた
海洲監督自身も、手探り状態だった春から夏に比べて、夏の練習の中で、31人の選手たちの役割や適性を見極められて、ある程度行ける感触も得ているようにも感じられたという。前半、やや嫌な感じでの失点ながら、有馬君がそれ以上崩れなかったことも大きかったといえよう。
工学院大附としては、6回以降になって、いささか単調になってしまい、もう一つチャンスを作り切れなかったことが、結果的には響いてしまった。
(文=手束 仁)
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