試合レポート

桐光学園vs大師

2017.07.24

大師、大健闘も、あと一歩及ばず

 大和スタジアムの5回戦、第1試合は大師桐光学園

 大師は3回戦で第3シードの桐蔭学園、4回戦で城山を共に僅差で下して勝ち上がってきた。一方、第1シードの桐光学園は、ここまで3試合全てを2ケタ得点、コールド勝ちという圧倒的な強さで5回戦に駒を進めてきた。

 東北付近にかかる前線に向かって湿った空気が流れ込み、大和スタジアムは曇り空。風は南南西3.2mと、打者にとっては逆風、また気温は27.7℃とそれほど上がらず、選手にはプレーしやすいコンディションである。

 桐光学園は1回表の大師の攻撃を無得点に抑えた後、早速その裏、大師の先発・寒河江に強力打線で襲いかかる。先頭打者の斉藤が四球で歩くと、続く2番渡部、3番山田の連続二塁打であっさり2点を先制する。

 しかし、大師は3回に反撃。桐光学園の先発右腕、棒田に対し、二死から1番関が四球を選ぶと、2番松本がねばった末に1、二塁間を抜けるライト前ヒットを打って一、二塁。さらに3番吉川の死球で満塁とチャンスが広がる。ここで4番中島がカウント1ボール1ストライクからレフトに大飛球を放ち、グランドスラムかと思われたが惜しくもファール。しかし、その後、中島は気を取り直して三遊間を破る2点タイムリーヒットを放って4番の仕事を果たし、大師は2対2の同点とした。

 続く4回も大師は一死後、7番矢田のライト線二塁打でチャンスを作るが、ここで桐光学園は早めの継投策を採り、ピッチャーを冨田にスイッチ。すると冨田はOBの左腕、松井裕樹(現・楽天)を思わせるしなやかなフォームで速球とスライダーを投げ込んで後続を討ち取り、逆転は許さない。

 そして、雨雲が南下し、小雨が落ちてきた5回に試合が動く。桐光学園は先頭の9番冨田がライト前ヒットで出塁すると、続く1番斉藤が右中間に2ベースを放ち、無死2、3塁と大きなチャンスを迎える。ここで2番渡部は鋭い打球を飛ばし、抜けたかと思われたが、大師のファースト吉川が好捕し、ランナーが飛び出した3塁にすばやく送球して併殺が成立。大事な場面でビッグプレーが出て、二死二塁。大師はピンチを脱したかに見えた。

 しかし、桐光学園は続く3番、山田が力強くバットを振り抜くと、打球はレフトに大きな弧を描き、逆風をついてスタンドイン。山田の2ランホームランで桐光学園大師を突き放す。

 桐光学園はその後も6回に冨田の右中間二塁打などで一、三塁とするも、大師の寒河江の力投の前に追加点を奪えず、また7回も前打席でホームランを打っている山田の完全に長打コースの打球を、大師はセンター目黒がダイビングキャッチ。内外野の堅い守備で、大師はこれ以上の点数を許さず、また桐光学園の冨田も快投を続け、4対2のまま、いよいよ最終回となる。

 9回表、何とか追いつきたい大師は、一死後、6番鷲尾が鋭い打球を放つも、桐光学園はサード山田が落ち着いて捌いてアウト。最後は7番矢田がセカンドゴロに倒れ、ゲームセット。桐光学園大師を4対2の接戦で下してベスト8進出を決めた。

 試合のポイントはやはり5回。チャンスを潰したかに見えた場面で、桐光学園は山田に2ランホームランが出た。今日の桐光学園は圧倒的な強さこそなかったものの、1発で相手を突き放す打撃力の強さを見せつけ、また棒田をリリーフした1年生・冨田の安定感が目立った試合だった。

 しかし、今日の試合は、桐光学園の強さよりも、大師の大健闘の方が光った。桐光学園の打線を相手に、先発の寒河江は8回を完投し、被安打7、失点4という素晴らしいピッチング。県内屈指の強力打線に対し、ひるむことなく堂々と投げた寒河江、そして堅い守りで寒河江を支えた大師の選手たちに対し、スタンドからは惜しみない拍手が鳴り響いていた。

 勝った桐光学園は、25日にベスト4をかけて、第2シードの慶應義塾と対戦する。

(記事=松田 祥二郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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