興南vs美来工科
13奪三振1失点完投。一年生左腕がチームを甲子園へと導いた
第99回全国高等学校野球選手権沖縄大会の決勝戦を振り返る前に、現地で両校ナインを見てきた者として一言だけ。興南と美来工科の差はこんなに開かない。本当に互角の両者だったのだ。それでは何故にここまで差がついたのか…
誰も予想しなかった序盤での、興南の怒涛の攻撃を振り返る。初回、仲村匠平がレフト線を襲う二塁打で出塁。犠打でキッチリと三塁へ進めると3番上原麗男は四球を選ぶ。そしてこの夏、主将で4番を務める福元信馬がレフトの頭上を襲う2点タイムリー二塁打(その直前に上原が盗塁に成功)。興南が幸先良いスタートを切った。
これで勢いをかった興南は2回表、里魁斗がライト前ヒット。二死三塁となって一年生の根路銘太希がセンター前へタイムリー。上原麗男、福元信馬の連打で満塁とし、川満大翔の内野安打タイムリーで加点。さらに嘉数尊のライト前タイムリーで2点を奪い、ワイルドピッチを含め一挙5点を奪取した。
3回には2、3、4番の三連打と、当初PL学園での高校野球生活を夢見ていたが、その後のPL学園側の騒動の渦でそれが叶わず、沖縄での野球を決断した渡辺健貴の二塁打などで試合を決定づける6点をボードに刻み込んだ。
投げては一年生左腕の宮城大弥が、美来工科打線を7安打に1失点に抑え完投。13奪三振をマークしたサウスポーの躍動に、島袋洋奨(興南-中央大-ソフトバンク)を思う。2年前、甲子園でベスト8の原動力となったのもサウスポーの比屋根雅也だった。左腕繋がりの“好ジンクス”を担う興南の、甲子園での活躍に今から心を躍らせずにはいられない。
(文=當山 雅通)
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