宇都宮北vs黒羽
取って取られての攻防は、8回に宇都宮北が突き放す
まだ梅雨の真っ最中で、九州地区では大雨に見舞われて被害も出ているという。そんなこともあってか、湿度も高いのだが、蒸し暑いことでは定評のある北関東。この日も午前中から34度を超えるという気温だったが蒸すような暑さである。
そんな中、11時47分に第2試合が始まり、両チームのナインがホームベースを挟んであいさつを交わす。そのタイミングで、ネット裏からも、「頑張ろう!」と声がかかる。栃木県の高校野球関係者の間ではよく知られている、「頑張ろうオジサン」である。この声を耳にすると、今年も元気にネット裏に足を運んできているのだと、確認できるようだ。こうした人も、間違いなく高校野球文化を支えている一人である。ある意味では、どちらの当事者でもないので、ニュートラルな立場から純粋に高校野球を見続けていられるのだ。だから、素直に「頑張ろう」と、励ましていかれるのかもしれない。
そんなファンにも見つめられてのプレーボール。試合は、シーソーゲームの展開となった。
先制したのは宇都宮北で2回、併殺でチャンスを潰した後に、中村 正弥君が右前打で出て盗塁と四球後に、8番遊佐 賢志郎の中前打と山野井 亮太君の二塁打で2点。
反撃したい黒羽は、5回に一死から新山 瑞輝君が三遊間を破ると、清水 敬君の三塁線の二塁打で二三塁とすると、1番菊池 誠也君が右犠飛を放って1点差。さらに6回には、相手失策と死球絡みと盗塁で得た一死二三塁で秋元 宇宙君がスクイズを決めるが、二塁走者も一気にホームを陥れて2ランスクイズとなった。これで、黒羽が逆転。
しかし、その裏すぐに、宇都宮北も中村君の二塁打とバント悪送球で同点とする。さらに、けん制悪送球で三塁へ進む。ここで、山野井君がスクイズ(記録は安打)を決めて再び宇都宮北がリード。
ところが8回、黒羽は2番佐藤 蓮君の安打と、続く小野 友也君の左越二塁打でまたしても黒羽は同点とし粘りを示す。
こうして点の取り合いとなっていった試合だったが、その裏に決着がつく。四球とポテン安打に、意表を突いた重盗で一死二三塁とした場面で、山野井君が三塁線を強襲して、これが二塁打となり二者が帰った。結果的には、これが決勝点となった。
宇都宮北は6回途中から、遊佐君をリリーフて、センターからマウンドに登っていた横山 聖君が9回も、1四球は与えたものの、何とか抑えきった。
茹だるような暑さの中だったけれども、「頑張ろう!」の声にも励まされて、取って取られての好天会の試合は、十分に見ごたえのあるものだった。
(文=手束 仁)
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