神村学園vs沖永良部
3時間8分の粘り及ばず・沖永良部
第1シードの神村学園は春の九州大会優勝校。春以降の公式戦負けなしの優勝候補筆頭に挙げられる。一方の沖永良部は春初戦敗退のチームだが、昨夏は初戦でシード鹿児島城西に勝ったように何かをやってくれそうな気配を感じるチームだ。
4回までの神村学園にはさすが優勝候補と感じさせる緻密さがあった。3回まではチャンスを作りながらも生かし切れなかったが4回は先頭の6番・田中 祐大（3年）のセンター前ヒットを皮切りに4連打。死球、犠飛と続いて3番・田中 怜央那（3年）のライト前タイムリー、5番・島中 大輔（3年）の犠牲フライと打線がつながり、一挙5点を挙げた。際どいボールは見極め、甘く入れば打つ。シンプルだが優勝候補らしいスキのない集中打で大勢を握ったかに思われた。
並のチームならここで戦意喪失してもおかしくないが、沖永良部はその裏、二死から6番・宮田 斗真（3年）がセンター前ヒットでつなぎ、連続四死球押し出しで1点を返した。後半巻き返すきっかけになる1点だった。
6回表、神村学園は無死満塁と絶好の追加点を挙げるチャンスに4番・南川 翔哉（3年）の打球はライナーが先発のエース勝間 海斗（3年）の左手を直撃。不可抗力のアクシデントだったが、前田 直紹監督は迷いなく素早くセンターを守っていた山元 隼風主将（3年）にスイッチ。2者連続3ボールノーストライクと不安定な立ち上がりだったが、最後は132キロの直球で空振り三振をとりピンチを脱した。
7回表に神村学園は1番・後藤 拓真主将（3年）のタイムリーで7点目を挙げたが、その裏沖永良部は押し出しと4番・白山 拓海（3年）のタイムリーで2点を加えて粘った。最終的には9対3で神村学園が下馬評通りに勝ち星をとったが、3時間8分間しのぎ続けた沖永良部の粘りも見事だった。
（文＝政 純一郎）
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