試合レポート

仙台育英vs弘前学院聖愛

2017.06.11

仙台育英が投打ともに隙無しの試合運び!コールド勝ちでベスト4!

仙台育英vs弘前学院聖愛 | 高校野球ドットコム
2打点の活躍を見せT杉山拓海(仙台育英)

 前半の試合展開とは一転。秋の東北王者の仙台育英が強さを見せた試合となった。

 4回裏、仙台育英が犠飛で1点を先制。しかしその5回表、弘前学院聖愛が7番田崎陸(1年)の同点適時打で1対1の同点に追いつく。打ったのはストレート。「打席に立った時は速いな!と思ったんですけど」というが、それでもしっかりとくらいついて、安打にした。弘前聖愛リトルシニア時代では二度の全国出場経験ありの逸材。田崎が良いのは、守備。一歩目が早く、守備範囲の広さが魅力の選手。一歩目をすばやく切れるよう、一度足を浮かせてからスタートを切ることを意識しているようだ。攻守ともにレベルが高い逸材で、今後が楽しみだ。

 5回終わって1対1の好勝負となっていたが、6回裏、仙台育英は3番山田利輝(3年)の二塁打でチャンスを作り、4番佐川光明(3年)の犠打で一死三塁のチャンスを作り、再び杉山の適時打で勝ち越しに成功する。杉山は175センチ77キロのがっしり体型の右打者。バックスイングで深いトップを作り、フォロースルーでしっかりと振り抜ける選手。冬場に1日1000スイングをしっかりとやってきた成果が表れた。

 

 7回裏には7番前田颯真(3年)の二塁打からチャンスを作り、長谷川拓帆(3年)が自ら適時打。1番西巻賢二の犠飛で4対1と突き放す。

 投げては長谷川拓帆が連日の好投。いつもは1試合目がダメで、2試合目から良くなるというのが長谷川のパターンだが、2試合続けて安定感あるピッチングができるのはなかなかないという。以前までの長谷川といえば、制球を乱す傾向があったが、それがない。制球力を安定させたのは意識の変化にあった。
「2ストライクまで力まず、軽く投げようという意識で投げています」
確かに左肩の力が抜けたように淡々とストライクを取っている。そして2ストライクを取ってから、力を入れて相手打者をねじ伏せる。長谷川は7回まで130キロ前半だったが、終盤になってくると相手が合わせてくるとのを察して、マックスの力で投げ始め、7回表に最速138キロを計測し、8回1失点。さらに自身初の無四球投球となった。


 8回裏には、前田がこの日4安打となる適時三塁打。本塁打が出ればサイクル安打という好調ぶりだった。185センチ84キロと恵まれた体格を誇る前田だが、この春まで長打は少ない選手だったという。前田も意識の変化で、長打力が出てきた選手だ。
「強く振ろうと思っていたんですけど、それがうまくいかず、自分の場合、芯でしっかりととらえようと思いました」
その結果が、しっかりと4安打に現れているのだから、素晴らしい。この長打力、コンタクト能力の高さを維持できれば、高いステージでも十分に続けられる選手ではないだろうか。

 その後、小川拓馬の適時打、西巻賢二の左前安打と相手の敵失で7対1と突き放す。そして最後はバッテリーミスで三塁走者の西巻がホームインし、コールド。8対1で仙台育英がベスト4進出を決めた。

 攻守でしっかりと力を見せた仙台育英。攻守ともに隙が見当たらない試合運びだった。

 敗れた弘前学院聖愛は、やはり昨年から活躍を見せていた5番市川修斗の打撃技術が高い。この日は長谷川からストレートを捉えて右中間を破る二塁打。好調時は、右中間へ打球が良く伸びる市川。右投手、左投手を苦にすることなく、結果を残す選手。まだ本人からすると打率面で物足りなさが残るようだが、さらに高みを目指して、隙の無い打者を目指してほしい。

(文・写真=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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