試合レポート

栄徳vs桜丘

2017.04.30

勢いのある栄徳に、雷雨中断も味方した形で大勝

栄徳vs桜丘 | 高校野球ドットコム
釜谷 竜哉(栄徳)

 3回戦では、愛工大名電を完封して勝ち上がってきた栄徳、勢いに乗っている。また、愛知桜丘は昨秋県大会準優勝を果たして、東海地区大会にも進出している。そして、今春もここまで勝ち上がってきた。昨秋の実績も、チームとしては一つの自信にもなっているはずだ。

 愛知県の準々決勝としては、いくらかフレッシュな印象でもある顔合わせ。近年、躍進しつつある私学同士の対決ということでも興味深いものがあった。

 愛知桜丘はエース原悠莉君が体調を崩して前日には39度を超す熱があったということで、登板を回避。杉澤哲監督としては最初から、「この試合は厳しい戦いになる」という覚悟はあったようだ。ということで愛知桜丘は背番号11をつけた濱田康太君、栄徳は先週、愛工大名電を完封しているエースの釜谷竜哉君が先発。

  様子を探り合うようなところもあったが、3回までは早いペースで試合が進み、お互いに0に抑えて、愛知桜丘は2安打。栄徳は無安打のまま中盤に入った。

 4回に愛知桜丘は二死満塁まで攻めるものの釜谷君が踏ん張って抑えたその裏、連続四球で無死一二塁のチャンスを作ると、4番石原水輝君が左中間二塁打して二者を帰して先制。さらに一死三塁まで進めると、石橋心君がスクイズを決めてこの回3点目。

 これで勢いづいた栄徳は、二死満塁から7番神山響君の三塁線を破る二塁打で走者一掃して3点を追加した。
中野幸治監督は「打てない下位打線なのですけれども、野手がもう少しラインに寄っていたら捕られていたでしょうけれども、いいところへ飛びましたね」と言っていたが、よく振り切っていたので打球も鋭く三塁線を抜けていっていた。さすがにこれで、杉澤監督は濱田君を諦めて、2人目の美濃君につないだ。


 しかし、美濃君も6回には3番野口泰司君の三遊間を破るタイムリー打や石原君の中越三塁打、近藤颯真君の右犠飛などでさらに3点。試合はワンサイド気味の展開になっていった。

 結局、そのまま釜谷君が完封して栄徳がベスト4進出を決めた。

 試合の流れのキーポイントとしては、栄徳がリードして、さらに5回に一死二三塁としたところで、雷雨の気配を感じて試合が中断されたのも大きかった。1時間53分の中断の後に再開されて、濱田君としても一旦中断してから、再登板でリズムに乗り切れない中でピンチを背負っていたということも痛かった。そこで再開直後に四球を与えてしまいピンチが大きくなって、「抑えなくては」という意識になったところを神山君に打たれたのが大きかった。雷雨の中断が、結果的には栄徳に味方した形となった。

 栄徳は、中野監督としては戦力が充実してきたと感じながらの新チームだったが、昨秋は故障者も多くて満足いく結果にはならなかった。それだけに、新たな意識で挑んだこの春である。
「周囲からの期待の声も、正直あります。それに応える、もう一つ上を目指して行きたいと思っています」と、チームとしての充実感があるだけに、実績を残しておきたいという思いがあるのだろう。

 釜谷君はタテの変化球も大きいが、「場慣れしていますから、安定した投球はできます」と、中野監督も信頼は厚い。3番野口君、4番石原君という2年生の中軸が思い切りのいいスイングでタイムリーを放つなど、攻守にバランスがとれているという印象だった。

(文・写真=手束仁

栄徳vs桜丘 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【富山】富山商が高岡商を破って春連覇達成<春季県大会>

2024.05.06

【大阪】大阪桐蔭が快勝!準々決勝でプロ注目・今坂幸暉擁する大阪学院大高と対戦!<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>