帝京vs東京実
帝京・松澤11奪三振!帝京キラーの東京実を下す
松澤 海渡(帝京)
帝京は2・3回戦と苦しんだが、4回戦で取り都立日野をコールドで下し、ようやく本領を発揮し始めた。準々決勝の相手は、かつて「帝京キラー」と呼ばれた東京実。東京実はここまで、苦しみながらも粘り強い野球で勝ち上がってきた。
東京実にとって、勝負のカギを握るのは、準々決勝進出の立役者であるエースの栗田 航暉の出来だ。しかし栗田は、初回につかまる。
1回表帝京は1番・佐々木 俊輔が左中間を破る二塁打で出塁すると、2番・志田 太陽が送り、3番・田中 麟太郎の中前安打で1点を先制。さらに4番・田中 悠我がセンター、ギリギリでフェンスを越える2ランを放ち、帝京は初回に3点を入れる。
田中 悠我の2ランはややラッキーな面もあったが、この試合は、1番の佐々木がしっかりチャンスメークをしたことが大きかった。
3回表も、佐々木が中前安打で出塁すると、志田が送った後、三盗し、暴投で生還する。
6回表は、栗田のボークもあって1点を追加。7回表は、佐々木が四球で出ると二盗し、志田の犠打で三塁に進み、5番・浅野 丈の中犠飛でさらに1点。
8回表は東京実の2番手・鈴木 睦也から、7番・山名 麗太朗が中前安打で出塁すると、二盗に敵失2個で生還し、7点差になった。
投げては、背番号は16でも事実上のエースである松澤 海渡が1、2回に三振を2個ずつ奪う、順調な滑り出し。その後も奪三振を重ね、8回を投げて奪三振11。被安打3の好投。1回表は東京実の1番・高橋 智浩に中前安打を打たれたが、高橋が二盗に失敗すると、ピンチらしいピンチはなかった。「今日は低めにボールが集まり、スプリットが良かったです」と松澤は言う。この冬の練習の成果で、球速も140キロ台を記録するようになった。
帝京にすれば、7対0、8回コールドの大勝であったが、前田 三夫監督は「つながらない」と厳しい評価。1イニングに複数の安打が出たのは、初回だけだった。いよいよ次は日大三との対戦だ。
「次は大変。あの戦いぶりは強い」と前田監督は、日大三を警戒する。ただ試合については、細かく指示するのでなく「黙ってやらせてみる」と語る。4月23日、全国的に名の知れた強豪同士の対戦は楽しみだ。
一方、東京実は初回の3点に加え、失策が4個も出たことが響いた。それでも、主砲の豊田 琢磨の調子が今一つの中、チーム全体でカバーし、粘り強い野球で8強に残ったことは、夏への自信にもなるはずだ。身体能力の高い選手が多いだけに、守りのミスなど、春の反省点を踏まえて、夏に挑んでほしい。
(文・写真=大島 裕史)
注目記事
・2017年度 春季高校野球大会特集