平塚学園vs厚木
課題を発見しつつも、平塚学園4回戦へ進出
先発した松田(平塚学園)
2014年の秋季県大会で優勝を飾り、関東大会でもベスト8に進出。第80回大会(1998年)以来の甲子園に、少しずつ手が届きそうな位置になっている平塚学園。もっとも、そこから先のあと一つふたつの壁が厳しいのも、神奈川県ではあるのだ。もちろんそんなことは八木崇文監督は百も承知で、それでも挑み続けるところに、高校野球のロマンがあるともいえようか。
そんな平塚学園に挑んでいく形となったのが、県内でも有数の進学校の一つである厚木だ。毎年夏は、六大学張りの統制のとれた応援が展開されていることでも定評がある。
先制したのは厚木で初回、簡単に二死となって走者なしから渡邉君が四球を選ぶと、4番秋山君の打球はライト線いっぱい、飛びついた上田君のグラブをかすめて抜けていき三塁打となって、渡辺君が帰った。平塚学園の先発左腕松田君としては、スイスイと二死を取っておきながら不用意に出した四球が先制を許すきっかけとなったことは、反省材料となろう。
早く追いつきたい平塚学園だったが2回、4番増田君と6番加藤駿介君の安打などで一死満塁として中犠飛で追いつく。さらに3回には二死一、二塁から、重盗で二、三塁とすると、5番樋口君の左前打で逆転したが、二塁走者の増田君は中継プレーで刺された。スタートもやや遅れたところがあったが、厚木の中継も見事だった。
平塚学園は6回にも二死からチャンスを作って、一、二塁として1番千葉君の左越二塁打で2者を帰して突き離した。さらに、上田君も中前打したが、ここでも二塁走者が8−6−2の好中継で本塁で刺される。このあたりは厚木の守りの確かさというか、しっかりと練習を積んできているなということを感じさせるものだった。
厚木は、この中継だけではなく、内野の守りもしっかりとしており、好送球で走者を刺すというシーンもあった。こうしたプレーが試合で出せるのは、日頃の練習の中で、しっかりとキャッチボールをやってきているということの証でもあると言っていいであろう。
それでも、力のある平塚学園は、7回には4番増田君が左翼へソロアーチを放ってダメ押しとなった。打球は最初は左翼飛球かと思われたが、上がってから加速していったような感じだった。それだけスイングが鋭かったということであろう。
平塚学園のこの日の投手はいずれも2年生だった。背番号10の松田君が4回を投げて1点は失ったもの4安打に抑えた。そして、残り5イニングを投げた背番号11の中嶋航君は、失策の走者こそ一人出したものの併殺で切り抜け、無四球で無安打に抑えて、5イニング全てを3人で切って取った。
八木監督も「2年生がよく投げたと思います」と、2人の好投は評価していた。しかし、試合展開そのものに関しては反省しきりだった。「二死走者なしから安易な四球と長打で1点を取られて、ウチはその裏に走者を出しながらも併殺でした。こんな状態が長引くと、相手は集中力もあるし、しっかりとした守りもできていますから、ちょっと嫌だなと言う感じはしていました。盗塁を仕掛けたりもしましたが、刺されたり、走塁面ではスタートが遅かったりと、まだ課題はあります」
それでも、チームそのものに関しては、「突出した選手がいるわけではないですけれども、いろんなことが仕掛けられるので、面白いチームにはなっていかれると思います」と、課題を踏まえつつも、チーム作りとしては大いに希望を感じている様子だった。
(取材・写真=手束 仁)
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