柏陵vs流山おおたかの森
延長戦いお互い夏へ向けて手応え
中村 陸央(柏陵)
雨で、予定していた日程がずれ込んだ千葉県の一次ブロック予選。最終的に、第4地区が残ったが、雨続きで予定していた球場が変更になっていった中、柏市が融通を聞かせて、この日は予定がなかったところを高校野球に提供してくれた。本瀬来はメンテナンスの予定となっていたということもあって、この日は2試合ながら、朝8時半からのプレーボールということになった。
タイプは異なるが、両左腕投手がそれぞれ持ち味を出しての好投手戦となり、延長にもつれ込む接戦となった。柏陵は中か切れのいい投球を組み立てていく中村陸央君、流山おおたかの森は2年生のスリークォーターで、スイスイと投げ込んでいく渡辺雄史君だった。
まずは、どちらも持ち味を出していったが、4回に柏陵は、安打の後藤文弥君を置いて、2つの失策とスクイズで2点を先取する。そして、中村君は5回までは無安打に抑える好投で、試合の流れは柏陵のペースとなっていた。
しかし6回、流山おおたかの森は途中出場して9番に入っていた松川郁斗君がチーム初安打を放つと、バントと永井海斗君の安打などで二、三塁として4番の主将・八木達己君が右前へ二者を迎え入れるタイムリーを放って同点とした。最初のチャンスらしいチャンスを上手に得点に結びつけたといってもいい、流山おおたかの森の攻撃だった。
試合は、そこからはまた、両投手の投げ合いとなった。どちらも、ぴしゃりと抑え込むというよりは、走者を出すなどをしながらも、大事なところを何とか抑えていくという形である。7回〜9回と柏陵は無死で走者を出すものの7回はバントで送るも後続なし。8回は4番福原海渡君でもあり打っていったが併殺、9回もバント失敗と三進併殺になるなど、吉川勝幸監督としてはもう一つ、思惑通りにいかないなと、頭を抱えたいところであった。それでも、9回は無死で安打を許し、二死二、三塁とサヨナラ寸前まで攻められながらも、中村君が何とかこらえた。
こうして試合は延長戦に入っていった。
10回におおたかの森は、無死で松川君が安打して1番につなぐと、バントと四球で一死一、二塁とする。ここでクリーンアップにつながったので、ベンチとしても「転がしていけば何とかなる」という場面だったが、柏陵の中村君が踏ん張り無失点で切り抜ける。
よく言われることではあるが、「ピンチの後にチャンスあり」。その言葉は、この試合でも生きていた。
11回から、おおたかの森の長倉伸一監督は先発渡辺君から二番手として松崎航也君を送り込んだ。しかし、いきなり失策で先頭走者を許してしまう。バントで二塁へ進めて二死となってから、8番後藤元君の一打はぼてぼて気味の内野ゴロだったが、これも相手失策を誘発。結果的にこれが決勝点になったのだが、柏陵は先制点と決勝点をいずれも内野ゴロ失策でもらったという形になった。
柏陵の吉川監督は「高校野球ですから、転がしていっていろいろやっていれば、こういう形の得点もあります」と、粘り勝てたことに安堵していた。ただ、中村君に関しては、「前半スイスイと行ったのでいいのかなと思いがちですが、調子としてはあまりよくなかったですね。もっと、カーブが上手く制球されていきますし、抜き気味のボールも、苦しまぎれでしたが、もっとコントロールそれていくはずです」と、さらなる高みを求めていた。また、それだけの投手であるという評価でもあるのだろう。
おおたかの森は実は5年前も、今大会と同じ山の相手となって、初戦では麗澤、これに引き分け再試合で勝って、代表決定戦が柏陵で、そこでは接戦の末に失策で敗れているという。長倉監督が赴任して2年目のことだったが、図らずも、今年もまた接戦の末の失策絡みで柏陵に敗れた。
長倉監督は、さすがに悔しがった。「今年は、仕上がりとしては悪くないと思っていましたから、ある程度はいけると思っていたのですけれどもね、大事なところでエラーが出てしまいます。夏へ向けては、仕上げ直していかないといけません」と、3年生11人を2年生20人と、新たに加わってきた新入生21人で支えていく。「3年生に頼り切るのではなくて、下級生をどのように使っていくのかということも、考えないといけません。そこも課題です」と、チーム状況を見つめ直していた。
(文・写真=手束 仁)
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