関東一vs日本学園
昨夏の代表校関東一、今季も安定した力示してコールドで8強進出
小川樹君(関東一)
どちらも紫色を基調としたデザインのユニフォームで、胸文字も、ともに漢字の横書きで校名表記。帽子も、紫色でヘルメットは白色と、似たような感じでよく見ていないと、「どちらがどっちかな」と、見間違うくらいだ。違いはといえば、色としては日本学園の方が少し淡い。それに、日本学園は袖口とパンツのサイドに紫色のラインが入っているので、そこが見分けるポイントとなる。
そんな“紫対決”だったが、昨夏に2年連続甲子園出場を果たしている関東一が貫録を示したというか、盤石の安定した強さを示してベスト8に進出を果たした。
投げては、エースナンバーを背負う小川樹君が6回まで毎回の11三振を奪い、被安打4で7回を完封した。そして、攻めては4回を除く毎回に細かく得点を重ねていくソツのなさで、突き離していった。
初回、関東一は先頭の小林琢朗君が中前打で出ると、バントと内野ゴロで三塁まで進む。4番溝淵龍之介君が左中間二塁打で帰して先制。2回には二死走者なしから四球と小林君、早坂秀太君の連続長打で2点を追加。さらに3回には、2本目の二塁打で出た溝淵君は本塁を狙って刺されたものの、さらにチャンスを作って、8番石田優太君のタイムリーで1点を追加。
5回には横山尚輝君、6回も二死走者なしから5番に入っている小川君と緒形一輝君の連続長打で追加。そして、7回は代打泉健太君が右中間を破って7点差としてコールドゲームとなった。
関東一は、ビッグイニングを作って相手を牛耳っていくというのではなく、細かくチャンスにことごとくタイムリーが出るという戦い方で、相手にとってはじわじわと攻めつけられている印象となった。こういうところにも、近年の関東一の安定した戦いぶりが窺われる。
それでも、米澤貴光監督は慎重だった。「小川は、今日はアウトローへしっかりとコントロールできていたので、相手打線も思っていた以上に振ってきて、却って打ちあぐんだのだと思います。向こうは、逆転で勝ってきているので、その勢いは怖かった」と、小川君に関しては、制球の良さを好投の要因として挙げていた。
しかし、打線に関しては、細かく得点はしていたものの厳しかった。
「まだ、ミスショットがいくつかありました。それは、このチームのテーマなのですけれども、“自分と戦い”に勝てていないんです。まだ、“自分と戦い”に負けているから、それが試合になると出てしまうんですね。本当の力をつけていくためには、もっと上の力のあるチームと戦って、どこまで戦えるのかということを経験していかないといけません」
と、まずは関東大会進出を目指している。より高いレベルの相手を貪欲に求めていく姿勢。これこそが関東一の強さを生み出しているだろう。
(取材・写真=手束仁)
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