八王子vs桜美林
連打が止まらない八王子打線!強力打線・桜美林に打ち勝つ!
勝ち越し打を打った櫻井陸朗(八王子)
八王子は苦しみながらも、4回戦進出を決めた。桜美林の先発は背番号19の楢葉 俊宗(3年)。楢葉はなかなかの速球派だった。1番高橋に対して、最速138キロを計測。その後も、右オーバーから常時130キロ~135キロ前後の速球を投げ込んでおり、体格も、179センチ80キロと体格も良い。期待の速球投手だ。
その楢葉に対し、八王子打線はいきなり捕まえる。1回表は相手のミスで1点を先制すると、2回表には、初鹿野滉平(2年)がライトスタンドへ飛び込む本塁打で2対0とした。
しかしここまで2試合で20得点を奪っている桜美林打線。八王子の先発・早乙女大輝(3年)を捉え、3回裏には2番大友翔太(3年)がレフトへ3ラン本塁打を放ち、逆転に成功する。どの選手もしっかりと体が鍛えられており、一冬の間に練習しているのがうかがえた。
その桜美林以上につながったのが八王子打線だ。4回表、楢葉は走者を出してからの投球に課題を抱えており、球速、コントロールともにがたっと落ちる。そこを八王子打線は見逃さなかった。3つの四球でチャンスを作り、二死満塁から打席に立ったのは前回の東亜学園戦で2本塁打を打っている櫻井陸朗(3年)。
「ファーストストライクから積極的に行こうと思っていました。狙い球とかはなくて、ストライクが来たら行く」
と誓った櫻井は、甘く入った変化球を捉え、打球はセンターへ抜けて2点適時打となり、逆転に成功する。櫻井はベースを回った後、大きくガッツポーズを見せた。昨秋、櫻井は打撃不振に苦しんでいた選手だったが、昨秋と比べると、打席に対して迷いがない。打撃好調の要因を聞いてみた。
「変えたのは気持ちの持ち方ですね。去年までは自分が自分がという気持ちでいたけど、今はどうやって後ろにつなぐか、チームバッティングについて考えるようになりました」
率いる安藤徳明監督も、「だいぶ打席の中で吹っ切れるようになりましたね」とメンタル面の充実が、打撃の結果に好影響を与えていた。この春の活躍で櫻井は選手としてワンランクレベルアップ果たした。広い八王子球場で本塁打を打てるパワーがあり、メンタルも強く、さらに二塁、三塁、遊撃とオールラウンダーで守れる選手。このままいけば、強豪チームで続ける可能性を持った選手となるだろう。
本塁打を打った松井洸太(桜美林)
5回まで6対4とリード。満を持してマウンドに登ったのがエースの米原大地(3年)。140キロ超の速球を武器に立ち向かっていた米原。立ち上がり変化球中心だったが、8回裏、桜美林の3番松井洸太(3年)にチェンジアップを捉えられ、本塁打を許してしまう。この本塁打で米原は「球種どうこうというより、外に狙い球を絞っていましたので、ストレート多めにして、インコースを突くこともしました」と常時140キロ前後(最速141キロ)のストレートを内外角に出し入れして、スライダー、カーブを投げ分けていきながら強打の桜美林打線をしのぎ、シード権を獲得した。
安藤監督は、「ようやく打線の状態が上がって、振れてきましたね」と好調の打線を評価。だが、エースの米原については、「スピードが上がってきた分、スピードガンと格闘しているような投球が見受けられることがありますね。もっと質の高い投球を追求してほしい」とさらに高いレベルを要求していた。
敗れた桜美林だが、都内を代表する八王子の2本柱から5点を奪った攻撃は見事だった。特に主将の3番松井は、183センチ82キロと実に恵まれた体格をしており、さらにスイングも豪快で、スイングスピードも実に速い。この夏、さらなるブレイクが期待できる大型外野手だ。
敗れた桜美林の工藤真彦監督は「打線がつながった八王子打線。本塁打でしか取れなかったうちの打線では差を感じました。本塁打はそう出るものではないですから。この試合はまだまだ練習が足りないと教えられた試合だったと思います」と締めた。
投打ともに能力が高い選手がいて、選手たちの戦いぶり、体つきを見るとかなり真剣にトレーニング、練習をしてきたのがうかがえる。この敗戦が桜美林を強くするだろう。このチームがノーシードに回るのだから、今年の西東京はかなり混沌したものとなりそうだ。
(文=河嶋宗一)
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