修徳vs都立文京
しぶとく9回に追いついた修徳、延長11回辛くもサヨナラ勝ち!
好救援を見せた坂本(修徳)
今年はよくまとまっているという都立文京が、強豪の修徳に対してどのような戦いをしてくるのか興味深かった。
「東東京は、確かに私学の何校かは強いでしょうけれども、特に抜けたところがないので、この夏はウチにもチャンスがないわけではない」と、2001年夏には都立城東を甲子園に導いた実績のある梨本浩司監督が、手ごたえを感じているという今年の都立文京だ。
その言葉通りに都立文京は幸先のいい攻撃を仕掛けた。初回は先頭の田中怜君が安打で出ると、内野ゴロで進めて、青木敬裕君が左前打でつなぎ、佐藤健人君の犠飛で先制。さらに2回にも、7番芳賀孝太郎君と続く古坊曉史君の短長打で一死二、三塁とすると、古田悠将君の犠飛で2点目。序盤の主導権を奪った。
修徳は、2点を失ったところで、先発の岩崎智希君を諦め、3回からは坂本大起君を送り出したが、その坂本君が踏ん張ったことが、最終的に同点、サヨナラに結びついていったと言っていいだろう。
このリードを先発左腕の古田悠将君が、どこまで守り切っていかれるかということになるのだが、梨本監督としては、リードした形で、エースの佐山智務君につないで、抑えきりたいという腹積もりだった。その目安を5回くらいとしていたのだが、その5回に、先頭の加藤比呂君に二塁打されたところで迷わず、この日は三塁手としてスタート出場していた佐山君をマウンドへ送った。「二塁打の打たれ方がよくなかったので、迷わず代えました。あの場面は、1点はOKでした」と、梨本監督としては、少し予定より早かったが、まずは想定内での佐山君投入だった。
この回、修徳は暴投と内野ゴロGOの攻撃で1点を返した。ここまでは、梨本監督としても計算していたところだった。しかし6回、修徳は四球とバントで一死二塁として、2番平田龍君が左中間二塁打して同点とする。
先発した古田(都立文京)
試合は振出しに戻ったが、都立文京はすぐに7回、一死から2四球と相手の併殺を狙った悪送球の失策で再びリードした。ただ、都立文京として悔やまれるのは、なおも一塁に田中君を置いて続く和田侑万君が右中間を破る二塁打で、一走が帰り切れなかったことだ。タイミング的にはきわどいところでもあったが、本塁へ勝負しても面白いところではあった。ただ、次が一番信頼の出来る3番の青木君でもあり、判断としては難しいところでもあったのだが…
都立文京は8回と9回も無死で先頭が安打していたが、いずれも後続が攻め切れなかった。都立文京が最少の1点リードで迎えた9回裏、修徳は先頭の和田君が自身2本目の二塁打して、内野ゴロで進むと、一死三塁からゴロGOという一か八かの場面で間一髪セーフとなり同点。ついに延長となった。この場面、修徳の阿保暢彦監督は、「高山(匠)は4番ですが、打ててなかったのでスクイズも考えていたのですけれどもね…。ギャンブルスタートでしたが、もう勝負を賭けてのスタートでした。よく転がしました」と、何とか同点にした場面を振り返った。
そして11回、失策と内野ゴロなどで二死二塁として、5番加藤君が執念で一、二塁間を破り、二塁から遠藤幹太君が帰ってサヨナラとなった。最後の最後に、修徳が力を示した形となったが、期待にたがわぬ好試合だった。
「何とか勝ちたかったですね…。あと1点が取り切れませんでした。これが、夏へ向けてのポイントですね」と、梨本監督は悔しがった。
阿保監督は、「相手はしぶといとは思っていましたから、楽な試合にはならないだろうとは思っていました。今日は、二番手で送り出した坂本が本当によく投げてくれました。こういうパターンで投げられれば、自信にもなったでしょう」と、坂本君の好投を称えた。坂本君は、元々遊撃手だったということだったのだが、送球がいいのを見て、阿保監督は投手に転向させた。
とはいえまだ2年生でもあり、「身体能力が非常に高い選手でもあり、遊撃手との併用で行きたいとも考えている」と、坂本君への期待は大きいようだ。修徳としては、エースの谷口洋輔君を使わないで何とか勝てたということも大きかったのではないだろうか。
(取材・写真=手束仁)
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