都立東村山西vs錦城学園
満塁弾が効いた都立東村山西、中盤の大量点で突き放す!
満塁弾を放った太田(都立東村山西)
千代田区神田錦町という都心のど真ん中に校舎がある錦城学園。もちろん、グラウンドは学校に隣接してはいないのは、都心の学校の常である。そんな中で、それでもチーム力を徐々に蓄えてきている。これに対して、都立東村山西は、東京郊外の学校だ。環境はいくらか異なる同士だが、チームのタイプは似たような感じだった。
前半は、都立東村山西が2回に7番櫻庭君のタイムリーで先制すると、錦城学園も3回に荒岡君の右中間へのソロホームランで追いついた。そして、1対1のまま迎えた5回、都立東村山西がビッグイニングを作って一気に試合の大勢を作っていった。
この回、都立東村山西は先頭の7番櫻庭君が右中間へ二塁打すると、バントで三塁へ進む。9番の大沢君の一打は高く上がったが、中堅手頭上を越えていく三塁打となった。これで、都立東村山西が再びリードした。佐藤歩君の内野ゴロで本塁を狙ったがここはアウトとなった。二死一塁となったが、ここから四球と内野安打で満塁となり、4番田村君も四球で押し出しとなる。さらに満塁で太田君だ。
太田君は3月に、相手の盗塁でスパイクされて手の甲を切って7針も縫ったという。丁度前日が抜糸だったので、この日は言わばぶっつけ本番に近い打席だった。2回の初打席はバントを決め、4回には右前打も放っており、心配はないということは確認できていた。その太田君の一撃は、スムーズにバットが出たが、高く上がった打球はそのまま柵越となった。打った本人は、はじめは二塁打かと思ってか、二塁で止まっていたが、塁審の腕が回っているのを確認して、「えっ?ホームランなの…?」という感じで本塁に走ってきた。見事なグランドスラムだった。
これで、試合の展開としては、大きく都立東村山西に傾いた。8回にも暴投で1点を追加して7点差となり、そのままコールドゲームになるのかとさえ思われた。
しかし、ここで錦城学園も意地を示した。勝ちを意識してか、やや投げ急いだ感もあった大沢君は児玉君に安打を許すと、荒岡君に死球。ここで、都立東村山西の三國力監督は、大沢君を諦め、一塁手の田村君をマウンドに送り出した。その代わり端を叩いた山田君が右中間に二塁打し、失策もあって錦城学園はこの回3点を返した。ベンチでも、玉木信雄監督は、まだ諦めるなとしきりに鼓舞していたが、その後は田村君が踏ん張った。そして9回、都立東村山西は、櫻庭君の三塁打などでさらに2点を追加してリードを広げた。
その裏、錦城学園は二死から満塁として攻めたが、最後は田村君が力で抑え込んだ。
昨年に都立小平南から異動してきた三國監督は、都立東村山西で2年目となるこの春から監督に就任している。
「乱戦になってしまいましたね。でも、選手たちはよく我慢したと思います。この、我慢がなかなかできなかったチームでしたから、苦しみながらも守りきれたことはよかったと思います。ただ、投手はまだ四死球が多いなど、不安定なところもありますので、このあたりはきちんと整えていかないといけないと思います」と、乱戦気味になりながらも、何とか守りで崩れなかったことは評価していた。その一方で、投手の制球を整えていくことも課題としていた。
(取材・写真=編集部)
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