履正社vs盛岡大附
エース・竹田祐が好投!6回までパーフェクトピッチング!
履正社vs盛岡大附
履正社のエース、竹田 祐(3年)が好投した。ここまで日大三、市立呉戦を見て、昨年秋に行われた明治神宮大会のときのようなよさが見られず寂しかった。それがこの日は一転していい出来だった。ストレートの最速は確認できただけで138キロ。日大三戦で141キロを計測しているので速さだけを物差しにすれば物足りないが、直曲球のキレが違った。
1、2回戦は上半身主導、あからさまに言えば指先だけでヒョイと投げているようだった。リリースのとき「潰そう」「押さえ込もう」という意識でボールを操ろうとし、それが結果的に「指先だけでヒョイ」になったのだと思うが、この日は下半身で上半身を押し出していく動きが見られ、リリースのときのボールの押し込みに力強さが加わった。
ストレートは低めに伸び、スライダーは真縦、斜め、横の3種類を用途に応じて自在に操り、130キロ前後で小さく鋭く落ちるフォークボールのキレもよかった。2回戦で前年の覇者、智弁学園を5対1で破った盛岡大付の強力打線に対して、6回が終了した時点でヒット、出塁を1人も許さないパーフェクトピッチング。勝負球に使う斜めスライダーの横の角度がもの凄く、ひょっとしたらと思った矢先の7回裏、先頭の植田 拓に初球のストレートをレフトスタンドに放り込まれ快挙は達成されなかったが、2安打、1失点の完投勝ちは十分に価値がある。
打のヒーローは3番安田 尚憲(3年・三塁手)だ。第1打席がセンター左を抜く二塁打、第4打席が右中間を破る二塁打、第5打席がセンター前ヒットで、そのすべてが火の出るような強烈な打球。第1打席をタイミングの取り方を見て、投手は勝負できないなと思った。早い始動をする選手が多い中、安田は遅めにバッティングの動作をスタートさせる。そしてその動きが実に慎重で粘っこい。どんなコースにどんな球種を投げてもすべてタイミングを合わされる恐怖感が対峙する投手にはあったはずだ。それでも勝負に行った三浦 瑞樹(3年)はたいしたものである。
ちなみに、第1打席の二塁打は打球がシュート回転している。これはボールの内側をバットで振り抜いているから生まれる弾道で、打撃フォームの正しさを証明している。似ている打者としてすぐ頭に浮かんだのは筒香 嘉智(DeNA)。
反動を抑えるため、バットを引く動き、始動のときの足の動きとステップする動き、さらにバットの前後左右や上下などの動き……等々、あらゆる動きに制限を加えようとしているのが筒香だ。
反動を悪いと知りながら「日本人は外国人のような体の強さがないから」と常に言い訳を用意して反動を使おうとするのが日本人打者の特徴である。筒香という強打者をお手本にして、安田も無反動を武器に完全無敵のスラッガーの道を歩もうとしているようだ。
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