履正社vs福井工大福井
7番片山が決勝二塁打!履正社驚異の下位打線で準決勝進出
7番キャッチャー・片山悠(履正社)
1回戦は仙台育英に快勝した履正社と、2回戦からの登場で、この大会初出場の福井工大福井の対戦。身長180センチ以上の選手がずらりと並び、体つきもがっちりしている履正社は、体格面では福井工大福井を圧倒しており、大砲と機関銃の戦いのようになったが、小兵の選手が多い福井工大福井の頑張りが目立った一戦だった。
福井工大福井の先発は、背番号10ながら北信越大会では主戦格として投げていた身長167センチの左腕・摺石 達哉。
摺石は腰の状態が芳しくなかったが、本人が「アドレナリンで」と言うように、痛みを感じさせない快調な投球で、1回表の履正社の攻撃を、3者三振に抑え、スタンドの観客を驚かせる。「ストレートは初速と終速がそれほど変わりません」と福井工大福井の大須賀 康浩監督が言うように、見た目以上に手元で伸びる球で、履正社打線を抑える。
一方履正社は背番号11の田中 雷太が先発した。「打たれてもいい。いい経験ができたらと思って起用しました」と履正社の岡田 龍生監督は言う。
2回裏福井工大福井は、この回先頭の5番吉田 有哉が左中間を破る二塁打で出塁すると、7番山内 貴文の投手返しの中前安打、8番大上 真人は右方向にしっかり合わせた左前安打と続き、1点を先制。さらに1番北川 智也がしっかり引っ張って右前安打を放ち、1点を追加する。ここまでは、福井工大福井がコツコツ安打を積み重ねてリードを奪った。
しかし4回表履正社は注目の強打者である3番安田 尚憲の四球、4番若林 将平の左前安打、5番筒井 太成の犠打で一死二、三塁とすると仙台育英戦では打点3を挙げ、打順が8番から6番に上がった松原 任耶が右中間を破る二塁打を放ち、あっさり同点に追いつく。前の試合からの好調について松原は、「積極的に振れていることが大きいです」と語る。
先発・摺石 達哉(福井工大福井)
さらに5回表履正社は、9番でこの日先発の田中が、1ボール2ストライクを追い込まれながら、4球目を振り抜くと、打球はレフトポール近くのスタンドに入る本塁打となり、履正社が逆転した。この本塁打について、福井工大福井の大須賀監督は、「摺石はよく投げましたが、あれは失投でした」と語る。
履正社の岡田監督は、「まぐれの一発。あり得ない」と言う。それでも履正社の選手は、下位の打者でも、一発長打を秘めたパワフルな打撃をしている。
5回裏福井工大福井は、1番北川の右前安打に、3番井上 開都のライト線にうまく運んだ二塁打で同点に追いついたが、6回表、履正社の下位打線の怖さを思い知る。
この回四球の若林が犠打で二塁に進むと、7番片山 悠が左中間を破る二塁打を放ち、若林が還り、勝ち越す。打球の勢い、速さは、7番の打撃ではない。
この試合注目の安田は3打数無安打1四球に終わったが、他の選手がカバーするというレベルでない、迫力が、どの選手にもある。
福井工大福井も粘ったが、履正社は7回から仙台育英戦で完投した竹田 祐を投入。竹田は走者を出すことはあっても危なげのない投球で福井工大福井を抑え、結局4対3で履正社が勝利した。
福井工大福井は惜しくも敗れたが、小さな選手が食らいつき、印象に残る試合をした。大須賀監督も、「自信はついたと思う。来年につながると思います」と前向きにとらえる。
履正社にすると苦戦であったが、「こういうゲームは勝つか負けるかの違いは大きい」と岡田監督が語るように、勝ったことで、また一歩進める。あとは安田ら、中心打線に当たりが戻るかどうかが、今後のカギになりそうだ。
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