試合レポート

広島新庄vs聖光学院

2016.10.05

堀瑞輝が二度目の登板!この状況を作った2年生左腕の好投!

広島新庄vs聖光学院 | 高校野球ドットコム

有村 綜留(広島新庄)

 広島新庄にとってこの日、二度目の試合。投手をどう運用するかが大事になるが、エース・堀瑞輝の登板状況が一番注目されたが、やはり登板となった。登板するには、僅差のリードであること。迫田監督は、点差が離れているようならば、登板させるつもりはなく、また本日2試合目の登板についても本人に確認を取って投げることを決めたという。堀は「おそらく登板があるだろうなと思って心づもりはしていました」と覚悟を決めていた様子だ。

 そこからの堀の行動は素晴らしく、迫田監督に言われるまでもなく、試合序盤からキャッチボールを行っている。しっかりと準備をしていた選手なのだ。また、高校野球の特別規則で変則ダブルヘッダーになったとき、投手が登板できるイニング数は両試合を通じて合計15 イニング以内。堀は2回戦で9イニングを投げているので、残り6イニングしか投げることができない。

 それ以外の投手が3回以上投げなければ、堀を投げさせることはできないのだ。前述したように、堀が投げる場面は僅差でリードしている場面だが、その状況を作ったのが、先発の2年生左腕・有村 綜留である。有村は、120キロ後半の速球、スライダー、カーブをテンポよく投げ分けながら試合を作っていった。

 4回裏、聖光学院の6番中屋大輔の2点適時打で2点を先制されたが、5回表、一死一、三塁から9番古本幸希の内野ゴロで1点を返すと、2番熊田亮平の適時二塁打で2点を返し、3対2と逆転に成功した。

 有村は、7回途中まで投げて2失点。迫田監督は、「この状況を作った有村の投球が素晴らしかったです」と好投を評価。そして7回裏、一死三塁の場面で堀が登板した。堀は、この試合、二度目の登板ということもありストレート抑え目。スライダー多めの配球で勝負、二者連続三振にきってとりピンチを切り抜けた。

 堀は8回裏にも最速147キロを計測するなど、連投の影響は感じさせない投球。スライダーもキレキレで、くらいつく聖光学院打線は2.2回を投げて4奪三振。計2試合で18奪三振とまさに最後まで堀の独り舞台であった。


 堀の投球のクオリティが落ちないのはしっかりとした理由があり、それは投球フォームが良いから。迫田監督も連投ができる投手、できない投手と見極めており、堀は連投が利く投手として登板させている。

「彼は過去の大会から100球以上投げても次の日には投げられる投手。100球投げてしまうと、その次の日は全く投げられない投手もいます。その違いはフォームにあって、堀は負担が少ないフォームで投げられる投手だと思います」と語るように、堀の投球フォームを見ると、左スリークォーターに見えるが、肘が下がらず、いわゆるゼロポジションの位置をキープしたまま投げられる投手である。腕の振りを見ても外回りをすることなく内回りで、身体の回転を上手く連動して投げることができるの、しっかりと力を伝えることができて、さらに体への負担も少ない状態で投げることができるのである。

 これは堀にとって大きな強みで、能力は素晴らしいだけではなく、壊れにくいというところも示した試合であった。

 敗れた聖光学院の斎藤監督は、「よく堀を出させた試合でした。堀を出して勝てばうちにとってとても意義のある試合でしたが、敗れて潔く引かざるを得ない。そんな試合でした。それでも最後は食らいついていたところを見せていたし良かったじゃないかな」と試合に敗れても堀を出させる状況にした選手たちの頑張りをたたえていた。

 連投になっても堀の投球は凄かったと聖光学院の選手たちが話しており、主将の松本は、「今まで対戦してきた投手の中でも一番でした。速球の勢い、変化球の切れ、出所の見難さ。本当に凄い投手でした」と脱帽している様子であった。

 ただ堀から計3安打を打った聖光学院の粘りは今後につながる敗戦でもあったはず。この姿勢が今の1,2年生に引き継がれることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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