広島新庄vs東邦
堀瑞輝の独り舞台!14奪三振の快投で準決勝進出!
堀瑞輝(広島新庄)
まさに堀瑞輝の独り舞台であった。
2回表、1番杉村 泰嘉の3ランで先制した広島新庄。その後、6回表にも1点を追加し、4対0とリード。広島新庄のエース・堀瑞輝にとっては十分すぎる援護点だった。今日はストレートの調子が良いと実感していた堀はストレートを軸に投球を組み立てる。左スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ後半~140キロ前半を計測。そのストレートを外角ギリギリにコントロールできるのだから打者はたまったものではない。そして120キロ後半のスライダー、120キロ台のツーシーム、チェンジアップ、100キロ台のカーブも低めに決まるので、強打の東邦打線は完全に沈黙した。
いつでも140キロを出せる馬力の大きさは見事で、130キロ後半がやっとだった昨年と比べるとだいぶ伸びているのが実感できる。
U-18からストレートの勢いはだいぶ素晴らしかったが、国体の舞台でもしっかりと調整できているのが素晴らしい。U-18終了後、どう調整していったかというと、まず大会終了後の1週間は完全オフ。その後、徐々にキャッチボールを初めてペースアップさせて大会に臨んでいるように、自覚をもって大会に入っているのが分かる。
3年生と一緒に戦う最後の大会。楽しんで終わりたいという思いで、この大会に臨んでいる堀は、どこかリラックスした状態で、硬さがないのも好投ができている要因だろう。国体は代表校の宿舎が同じで、前日、東邦の藤嶋健人といろいろな会話を交わすほどの仲の良さ。
「健人とはストレートで勝負で行こうと思いました」と語るように、藤嶋には全力投球。4回表の第2打席で、最速148キロ(中継局のガンで150キロ)を計測したが、明らかに勢いが違うストレートであった。こんなストレートを投げ込めるほどの体力があったんだなと気付かされるシーンであった。かといってすべてストレート勝負というわけではなく、7回裏の第3打席は100キロ台のカーブを見せてから、内角へ140キロ台のストレートを見せる投球。堀はストレート中心で良いと思っていたようだが、勝つことに徹した捕手・古本 幸希のナイスリードもあり、三振の山を築いていく。
最後、松山仁彦に適時二塁打を打たれ、1点を失ったが、4番藤嶋を中飛に打ち取り、14奪三振完投勝利。
ドラフト上位候補と目される堀だが、この時期で自己最速タイを計測するあたり、目的意識をもって調整ができているように感じる。いずれプロで勝負する左腕であると思うが、1つの大会に合わせてしっかりと標準を合わせる意識の高さは、かなり大きなアドバンテージとなっていくのではないだろうか。
(文=河嶋 宗一)
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