聖光学院vs常総学院
現役が終わっても真剣に野球を取り組めるのが聖光学院の強さ
松本主将(聖光学院)
聖光学院打線が非常に活発だ。今年の打線のレベルの高さについては、春先、齊藤監督から伺っているが、それでも国体になっても勢いを失わず、攻撃できているのが素晴らしい。なぜここまでの打撃ができるかというと、3年生は引退した後も、ずっと真剣味のある練習を続けているというのが大きい。
基本的に野球を続ける大学進学組は練習で、就職組をベンチ入りから外すほど。つまり今回、ベンチ入りしている3年生11名は野球を続けるようだ。そんな彼らは現役生が公式戦で学校にいない間、グラウンドを借りてみっちりと練習。またベンチ入りしていない3年生も、ベンチ入りする選手たちのために協力して紅白戦に付き合うなど、本気で国体で優勝するために練習に臨んできたのだ。
その成果はしっかりと発揮された。2回表、4番鈴木駿輔の左前安打をきっかけに一死二、三塁のチャンスを作り、内野ゴロで1点を先制。さらに3回表には4番鈴木駿の適時二塁打で2点を追加すると、さらに4回表には打者10人の猛攻で6得点。4回裏に2点を返されたが、5回表には佐藤 晃一の適時打で1点を追加。その裏、常総学院の吉成の本塁打で1点を返されたが、6回表には打線の勢いが止まらず、8番磯辺 伶也の適時二塁打で2点を追加すると、7回表には打者8人の攻めで、さらに4点を追加し、16対3とした。先発全員どころか出場者全員安打で計18安打。
聖光学院にとっては嬉しい勝ち方である。実は聖光学院、夏前に常総学院と練習試合を行っており、4対10で負けていたそうだ。それだけに負けたくない思いが彼らは強かった。
これで史上初の国体ベスト4。念願の優勝まであと2勝となった。今回の打撃爆発は、単に打撃力の高さではなく、さらに高いレベルを目指すために、引退後も強度のある練習を取り組んだ成果が出てきたということだろう。どんな大会であっても頂点を目指す隙のなさ。それを指導者から言われたから練習をするのではなく、選手が自主的に練習ができる姿勢。これは今年に限ったことではなく、過去に国体に出場していた代の選手たちは同じように引退後も真剣に練習をしていた。それが伝統となっているのだから、聖光学院が前人未到の10連覇を成し遂げられるのが頷ける。その聖光学院の芯の強さにどんどん迫っていきたい。
(文=河嶋 宗一)
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