試合レポート

上宮太子vs浪速

2016.10.03

上宮太子、5倍返しで夏のリベンジ

上宮太子vs浪速 | 高校野球ドットコム

投手・森田輝(上宮太子)

 上宮太子浪速の対戦カードで、場所は舞洲。しかも5回戦。

 今夏と全く同じ条件での再戦となったが夏に3対0で敗れた上宮太子が大量15点を奪い6回コールドでリベンジを果たした。

 浪速はエース・恵崎 隼輔(2年)の調子が上がらず今大会、実質主戦として投げていたのは背番号18の山元 魁人(1年)。金光大阪を完封するなど快投を続けていたが前日の槻の木戦では延長12回を1人で投げ抜き球数は190球を超えていた。山元抜きの戦いを強いられる浪速、池澤 和宏監督が先発マウンドに送ったのは期待の1年生、田中 千春(1年)だった。しかし、公式戦初登板となった田中は立ち上がりに連続四球からピンチを招き3点を失う。2回と3回は三者凡退に抑え立ち直ったかに見えたが、4回にも一死満塁から上宮太子の1番・坂中 龍馬(2年)に走者一掃の適時三塁打、続く木岡 大地(2年)に犠牲フライを打たれあまりにも重たい4点を追加されてしまった。

 7点差は大きな点差とはいえ試合はまだ中盤。逆転するためのイニングは十分に残っているはずだが、この時点で誰もが試合が決まったと感じたのは上宮太子のエース・森田 輝(2年)が抜群の投球を披露していたからだ。


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投手・恵崎隼輔(浪速)

 さほど大きくない身長と細身の体形ながら1年夏からベンチに入り、公式戦初登板は1年秋。2年春からエース番号を背負う。日野 利久監督は「ピッチャーとしての素質がめちゃくちゃあると思ってるんですよ。打者を打ち取る感覚、試合を潰すことはほとんどない」と全幅の信頼を寄せる。ストレートは最速143km/hだが持ち味はコントロールとキレ。相手に考える暇を与えないほどのテンポの良さも特徴的で、何より“ピッチングの組み立て”が出来る。ストレート主体のパワーピッチングをするわけではなく、基本的には低めにボールを集めてゴロを打たせるが、欲しい場面では狙って三振を奪う。追い込んだ後のストライクゾーンからボールゾーンに沈むタテスラはウイニングショットと呼ぶに相応しくコースも高さもまず間違えない。5回まで散発3安打無失点。連投のエースがしっかり試合を作った。

 すると打線は6回、前の回からマウンドに上がり2イニング目に入った浪速のエース・恵崎に猛打を浴びせ大量8点を追加した。その裏の浪速は代打攻勢。キャプテンで森田とは少年野球のチームメイトだった山本 敦也(2年)、旧チームで唯一ベンチ入りを果たしていた北川 陸人(1年)、5回戦進出の立役者・山元を送ったが最後まで森田を捉えられず。3対0だったスコアが2か月で15対0になり勝敗も逆転した。それでもベンチ入り20人中19人が入れ替わった浪速、池澤監督は「サインミス、バントミスだらけのスタートからここまで来ていろいろ経験させてもらった。やればできるということもわかったし、やるべきことやれなかったらこういうゲームになる。両方経験出来たのは良かった」と収穫を口にした。

 逆方向への強い当たりが目立った上宮太子、日野監督は打線に手応えを感じており森田頼みだった投手陣も丸岡 竜一(2年)が成長し2番手に目途が立った。近畿大会まであと2勝。2000年以来となる選抜出場も視界の先に捉えてきた。

(文・写真=小中翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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