聖隷クリストファーvs静岡
大事な1点を丁寧な守備で守り切った聖隷クリストファー、嬉しい東海大会初進出
聖隷クリストファー・河合君
またしても、朝からじとじとと雨の降る天候で、開催が心配されたが、それでも中止になるほどの降りではなかった。ということで予定よりもやや早くプレーボールとなった。
伝統校で県内の雄・静岡静岡と近年躍進著しい気鋭の聖隷クリストファー。とはいえ、この夏は開幕試合で敗退してしまった聖隷クリストファー。それだけに、県内どこよりも早くスタートした新チームのこの大会にかける思いも強かった。
聖隷は河合君、静岡静岡は池谷(いけや)君という両左腕の先発で試合は始まった。河合君は、スピードはさほどあるわけではないが、左腕独特の大きくドロンと曲がってくるカーブが特徴。河合君は低めを意識しながら、130キロ台中盤のストレートとスライダーを投げ分けていく。
投手がいいと、秋季大会は特に速いテンポで試合が進んでいくというケースが多いのだが、この試合もそうだった。2回、3回と静岡静岡は一死三塁まで形を作りながらも、聖隷クリストファーが何とか守り切る。ことに3回は無死一二塁からバントで一死二三塁とされてクリーンアップを迎えたが、河合君がよく踏ん張った。
そして4回、聖隷クリストファーは一死から安井君が内野安打で出塁すると、けん制悪送球で二塁へ進んでチャンスが広がる。4番水谷君が右前打してつないで一三塁。5番山田君はしっかりと中犠飛を打ち上げて貴重な先制点を挙げた。聖隷クリストファーとしては、さらに死球と失策で満塁の好機が続いたが、ここは池谷君が力で三振を奪って逃れた。
試合の流れから、ロースコアになっていきそうな気配ではあったが、この段階では、まさかこの1点がそのまま決勝点になるとは思わなかった。しかし、河合君が変化球とストレートの配給も巧みに、まさに、丁寧な投球で強力打線を交わしていった。打線は6安打で、静岡静岡の池谷君を打ち切れなかったのだが、それでも点を取られなかったということで、何とか勝ちをものに出来たと言っていいだろう。
静岡・池谷君
下半身もしっかりとした感じで鍛えこまれているという印象の静岡静岡の各選手。いずれも、腰を据えた鋭いスイングからの強い打球が光った。クリーンアップの小栁君、成瀬君、森君はもちろんのこと、7番稲角君なども、ツボへ来たら簡単にスタンドへ持って行けそうな雰囲気である。しかし、それを河合君が真っ直ぐとカーブで丁寧に投げ分けて交わしていった。主将でもある水谷君の好リードも光った。
聖隷クリストファーの植竹 和人監督は、「河合がよく投げたということもさることながら、野手がよく守ったということです。水谷のサインによって野手が守る位置を変えたり、水谷から指示が出ていたこともありました。そのあたりの判断も含めてよく守ったということです」と、守りの勝利を強調した。
これで聖隷クリストファーとしては、初めての秋季東海大会進出となった。今年は地元開催でもあり、気持ちもさらに高ぶっていくのではないだろうか。とはいえ、植竹監督は、「選手たちは、冷静ですね」と、この日も平常心で試合には入れたようなので、その気持ちで挑んでいかれるであろう。
1点が遠かった静岡静岡だったが、栗林 俊輔監督は、「序盤の流れを掴めなかったところが大きいですね。あそこで1点でも取れていたら、また違った展開になっていたのではないかと思います。後半は、相手が野手も深くなっていましたから、打ち上げないで低いライナーを打っていくように指示したんですけれども…」と、2回、3回の逸機を悔いた。実際、そこで得点できなかったことが、ことの他大きく影響していた。
(文=手束 仁)