知念vs向陽
苦しい展開を制した知念が2回戦へ進出
知念・大城拓
初回、知念はトップの宮城光和がセンター前ヒットで出塁すると、続く糸数 辰輝も内野安打で無死一・二塁とする。打力で勝る知念が、向陽を一気に飲み込む展開となるのだろうかと思わせたが、クリーンアップがセカンドゴロ(一死二・三塁に変わる)ショートフライ、レフトフライに倒れてしまう。「しっかりしろよ!クリーンアップ!」に似たゲキが、ベンチのナインから漏れてしまうほどのもどかしさが、終盤まで続いてしまう。
2回は二死からヒットと相手のエラー、四球で満塁とするもセンターフライ。3回、4回はともに併殺打でチャンスを萎ませてしまうと5回、6回はノーヒットに終わる。7回も無得点で残り2イニングとなった。
善戦した向陽。喜納の粘投が光る
向陽は1回裏、二死から3番宮里 裕貴がレフト前ヒットで出塁すると一年生4番の松田 慶が、逆風をものともせずセンターの頭上を襲う二塁打を放つ。一塁から宮里が一気に生還し先制した。この貴重な1点を、サウスポーの喜納 徳大が守り抜いていく。120kmに満たないストレートでは知念打線に捉えられる。そこで向陽バッテリーは緩いカーブを低めに集めていく。
さらにバッテリーにはもうひとつの策があった。この試合、喜納のピッチングでカウントが3ボールになる場面が12度もあった。しかし、それが制球難から来るものではないことはすぐに分かった。ボール球を打たせたい。2回の表、3ボールから内野ゴロに、同じく3ボールから三振。4回表の3ボールは内野ゴロの併殺と希望通りの展開になっていき、知念打線には強振が見られていった。
執念にも似たセンター前ヒットが起点となる
試合は向陽1点のリードのまま8回表へ。打席には4番の宮城 隆弥が入ったが、宮城隆の第1打席は一死二・三塁からのショートフライ、第2打席こそヒットを放ったものの第3打席は二死二・三塁から強振しての三振だった。しかし8回は初球から食らいつくように振り、センター前へ運んだのだ。このまま終われない!そんな執念にも似た安打がナインにも伝わる。
二死一・三塁となったが、8番大城 拓巳が逆らわないバッティングでライト前へのタイムリーでついに同点に追いついたのだ。さらに大城拓は一塁走者が三塁へ達したのを確認すると、一・二塁間で止まり相手野手を誘う。ツーアウトということもあり、向陽野手陣は大城拓を刺しに行ったがミスが乗じてしまう。逆転してさらに二塁に大城拓が生きた知念はトップに帰って宮城光がレフトへの二塁打を放ち、大きな3点目を刻んだ。
投げては大城拓が、2回以降向陽打線をノーヒットに抑える好投で2安打8奪三振の完投。向陽・喜納の粘投に苦しめられたものの、終盤のチャンスをものにして2回戦へとコマを進めた。
(文=當山 雅通)