都立桜修館vs都立芦花
桜修館打撃戦を制す!芦花・岸田7回に力尽きる
2安打の田村(都立桜修館)
9月といえども、日差しの暑さはまだ夏。この暑さが、試合にも影響を及ぼした。
夏は好投手・小林宗弘を擁し、5回戦に進出した都立桜修館。新チームでは、夏は短いイニングだが登板している横手投げの宇都宮誠卓が先発のマウンドに立った。
宇都宮は、序盤走者は出すものの、得点は許さず、まずまずの滑り出し。
一方、都立芦花の先発・岸田源太は、序盤は球にやや力がなく、2回裏二死二塁から、7番宇都宮、8番高橋冬馬に連続安打を許し1点を失う。それでも、中盤になると、球が徐々に来るようになってくる。
それに対して、都立桜修館の宇都宮は、暑さの中で中盤乱れる。
4回表、都立芦花は一死後、4番阿部充宏、5番須藤竜史の連打に、6番岸田の死球で満塁。7番熊田一駿の左前安打で同点に追いつく。さらに9番中崎孝輔が四球を選び押し出しで、逆転する。
その裏、都立桜修館は、球威が戻ってきた都立芦花の岸田に2者連続三振を奪われるが、7番宇都宮と9番太田佑の2本の二塁打などで同点に追いつく。
試合がやや荒れたのが5回の攻防。
5回表、都立芦花は、この回先頭の2番榊悠勝が右中間に安打。一気に二塁を陥れようとしたが、投手でもある右翼手・田村駿介の好送球で二塁はアウトであった。しかし続く3番渡邉竜一朗の左前安打、5番須藤の右中間を破る三塁打で勝ち越し。ここで桜修館は宇都宮が降板し、右翼手であった左腕の田村がマウンドに立った。芦花はさらに、6番岸田の内野安打で1点を追加する。
その裏、都立桜修館は、3番吉中佑宣の左前安打、4番石井正純の三塁強襲打で一死一、二塁とし、5番田村の飛球を、右翼手がわずかに捕球できず三塁打となり、2人が還り同点に追いついた。芦花の岸田は5回が終わった時点で球数が93球。6回には100球を越えた。6回は双方1点ずつを取り合い、5vs5と打撃戦の様相を呈する。
しかし都立桜修館は代わった田村が力のある球を投げ好投しているのに対し、1人で投げている芦花の岸田は、明らかに疲れがみえる。
7回裏、都立桜修館は、一死一塁の場面で、5番田村は左前安打。左翼手がボール処理を誤る間に一塁走者は三塁に進む。続く6番森崎景太のスクイズは、岸田の野選と、暴投を誘い、1点を失ったうえに、田村は三塁まで進んだ。その後2者連続四球の押し出しで都立芦花は1点を失う。
岸田は代え時であったが、都立桜修館の設楽幸愛監督は、「本当は代えるべきでしたが、部員が13人しかおらず、回の途中はやりづらい面もありました」と語る。3年生が抜けて部員13人だと、守りの時、ベンチは4人だけになり、難しい面も確かにある。その後も2本の安打と失策などで4点を追加し、勝負は決まった。
桜修館の2人の投手は、暑さの中で本来の投球ではなかったようだが、攻守に粘り強さをみせ、初戦に勝利した。次は本大会出場をかけて、関東一と対戦する。渡邉俊輔監督は、「こっちは挑戦者。当たり前のことを当たり前にやることが大事です。自分たちの力を出し切れるかで、敵は自分たちです」と語る。関東一は確かに強豪であるが、受け身にならないことが重要である。
敗れた都立芦花は、中盤まで好ゲームを演じたが、力尽きた。記録上の失策は3個だが、記録に表れないミスや、失策とされてもおかしくない安打もあり、「ミスが多かったことが痛かったです」と設楽監督は語る。来年新1年生が入るまでは部員13人で、練習に制約はあるが、「まずは守備力。それに打撃面では、変化球を打てるようにしないと」と、今後への課題を語った。中盤までの粘りをいかに継続できるか。投手だけでなく、チーム全体の体力強化をすれば、十分戦えるチームになるのではないか。
(文=大島裕史)
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