千葉商大付vs市立松戸
北海道遠征の経験を生かして!千葉商大付が攻守で粘り強さを見せ初戦突破!
エースの染谷康友(千葉商大付)
昨日、木更津総合が[stadium]甲子園[/stadium]の準々決勝で敗れ、千葉の夏が終わりを告げたが、その翌日、千葉の秋が幕を開けた。県大会出場を目指して、開幕した秋季千葉県大会一次予選。早くもブロックの実力校同士の一戦が行われる。特に松戸市、市川市、浦安市の強豪が集まる第3ブロックは早くから好カードが実現した。好選手を多くそろえる千葉商大付と2015年春ベスト4の市立松戸の一戦は序盤から試合が動いた。
2回表、まず市立松戸が一死二、三塁から8番西原のスクイズで1点を先制。
4回裏、千葉商大付は2番中村がしぶとく左前安打。さらに盗塁を決め、二死二塁から5番宮川の右越え二塁打で同点に追いつく。ポイントとなったのは中村の走塁だ。盗塁がなければ同点はなかっただろう。機動力。これこそ千葉商大付が鍛えたい部分であった。
千葉商大付は昨年、吉山栄太や小山裕輝など打力が高い選手が多かった。今年はそういう選手がいないため、機動力で勝負していきたい。しかしそういう技術、脚力を持った選手がいるわけではない。だがスローガンに掲げるだけでも選手の目的意識は変わってくる。選手の取り組む意識を変えるため、千葉商大付はこの夏、北海道遠征を行った。対戦した相手は駒大苫小牧、札幌日大、東海大札幌…と豪華な相手ばかりである。選手たちに学んだことを聞くと、この3チームは、試合に向かっていく姿勢、気迫が素晴らしく、見習っていきたい部分があったようだ。
染谷監督曰く力を持った選手はまだいない。だが、この試合を見ると、何かしぶとさがあるのが今年のナインなのだ。
千葉商大付の先発・林剛志は2回以降、立ち直りを見せていたが、5回表に連打を浴びて降板。だが、速球右腕へ化ける可能性を持った投手で、182センチ97キロとエンジンの大きさは十分。コンパクトなテークバックから振り下ろす直球は最速で135キロを計測する。高めに決まる速球派威力があり、手元で鋭く曲がるスライダーは非常にキレがあり、この2つが伸びれば、速球派右腕へ化けそうな予感をさせた。
5回表の途中から登板したエースの染谷康友。染谷も二死満塁、フルカウントまでいったが、最後は右打者の内角へ決まるストレートが決まり、見逃し三振を奪った。強気の投球ができたのも北海道遠征が大きかった。
「北海道遠征では強気で攻めていく大事さを学んだので、あのコースへ投げられたのは遠征の経験があったからだと思います」
エースの快投に乗せられ、打線は5回裏に7番伊東克の二塁打、8番久保の三塁線を破る安打で勝ち越しに成功。9番染谷がきっちりと送り、1番小松の中越え三塁打でさらに1点を追加した。さらに6回裏にも久保の適時打で1点を追加した5対1と点差を広げた。
好投を見せた物江啓佑(千葉商大付)
染谷は6回表に1点を失ったが、終盤以降は安定したピッチング。
「ブルペンでは良い感じだったのですが、ブルペンとマウンドでは傾斜が違うので、そこに苦労して、最初はばらつきがあったのですが、だんだんマウンドとの感覚があってきて良くなっていきました」
と振り返るように、キレのあるストレート、スライダーの投げ分けができていた。染谷は120キロ後半と決して速くないのだが、ボールの出し入れや、簡単には崩れないところに経験者としての強みを感じる。粘る市立松戸打線を振り切って、2回戦へ駒を進めた千葉商大付。
大会前の練習試合ではなかなか結果を残すことができず、苦しんだようだが、勝ち上がることに力を付けていきたいと考えている。北海道遠征で学んだこと、そして初の公式戦で味わったことを糧に県大会出場を勝ち取って見せる。
また敗れた市立松戸。攻守ともにしぶとい野球を見せていたが、その中で一人楽しみな逸材がいた。それが4番手で登板した物江啓佑(1年)である。投球練習から力強い腕の振りから勢いあるボールを投げ込んでいたが、実際に打者が立った時の投球は見事であった。左オーバーから繰り出すストレートは染谷以上の勢いがあり、いずれは135キロ。最終学年では、140キロ台も期待してもいいぐらいのボリュームのあるストレートを投げ込んでいた。
これほどのストレートを投げられるのはフォームがしっかりとしているから。
ランナーがいなくてもセットポジションから始動する物江。ゆったりと右足を上げてから、内回りのテークバックを取って、しっかりとトップを取った時にしっかりと肘を上げることができている。胸の張りも良い。そして打者寄りで離すことができて、そしてフィニッシュまで躍動感ある体重移動ができている。まだ体つきは華奢だが、将来性はたっぷり。
ストレートだけではなく、ストレートと同じ腕の振りで投げられるスライダーの切れも鋭く、二次予選での活躍を期待したい投手であった。ぜひ来年の今頃には、県内でも注目される投手になることを期待したい。
(文=河嶋 宗一)
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