慶應義塾vs鎌倉学園
慶應義塾が鎌倉学園の猛攻を凌いで準々決勝進出
[stadium]サーティーフォー保土ヶ谷球場[/stadium]の5回戦、第1試合は第1シードの慶應義塾と鎌倉学園の対戦。 この両校は春季大会の2回戦でも対戦しており、この時は慶應義塾が鎌倉学園を延長11回の末、3-2のサヨナラで下している。 ここまで大差で危なげなく勝ち上がって慶應義塾だが、5回戦でいよいよ難敵を迎えた。
空は雲が多く、気温26.3℃、湿度70%で東の風2.8m。 試合は終盤にもつれ、春季大会に続き、戦前の予想と違わぬ大接戦となった。
初回、慶應義塾は先発左腕の柏木が鎌倉学園打線を無難に無得点に抑え、その直後の2回表に先制する。
鎌倉学園の同じく左腕、横田の初球をこの回の先頭の5番、綿引がレフト前に運ぶと、6番水久保の送りバントでランナーを2塁に進める。
さらに続く7番瀬戸西の打順で、飛び出した2塁ランナーへのキャッチャーの悪送球でランナーが3塁に進む。 ここで鎌倉学園は前進守備を敷いて瀬戸西をセカンドゴロに仕留めるが、続く8番西澤がライト前にヒットを放ち、慶應義塾が下位打線で1点を先取。 また、その裏は鎌倉学園の5番、先頭の米倉がセンターに抜けようかという打球を放つも、ショート瀬戸西が横っ飛びで好捕し、ピンチを防ぐ。
しかし、鎌倉学園は3回に反撃。 1死後、1番石井の四球、2番磯崎のショート内野安打でランナー、1、2塁とすると、3番大平がレフト前にタイムリーヒットを打つ。 レフトが打球を後逸する間に2人のランナーが還って2点が入り、さらに続く4番片岡の1、2塁間を破る連続タイムリーヒットで3-1と逆転に成功する。
ここで慶應義塾は先発の柏木を諦め、エースナンバー1の森田をマウンドに送る。 これに対し鎌倉学園は5番米倉のバント小フライにファーストのダイビングが及ばず、ランナー1、2塁とチャンスを広げ、2死後、7番今村が3遊間を破るヒット。 4点目が入るかと思われたが、慶應義塾は落ち着いたバックホームで2塁ランナーを刺し、試合は鎌倉学園が3-1と2点リードのまま5回が終了する。
そしてグラウンド整備終了後の6回表、今度は慶應義塾が反撃。 先頭の4番正木が3塁前ボテボテの内野安打で出塁すると、5番綿引のレフト前ヒット、6番水久保の送りバントで1死ランナー2、3塁とチャンスを作る。
リードしている鎌倉学園は、ここでは1点やってもよいという中間守備を敷くが、慶應義塾は続く7番瀬戸西のショート内野安打でまず2点目が入り、さらに2塁への盗塁でランナー2、3塁となったところで、8番西澤のショートゴロで悪送球によりラッキーな2点を追加。 そして2死後、1番下山に右中間を破る3塁打が出て1点追加。 この回に一挙に4点を挙げ、5-3と慶應義塾が再逆転に成功する。
6回裏、鎌倉学園は、OBの桑田佳祐がボーカルを務めるサザンオールスターズの代表曲、「勝手にシンドバッド」の応援が続く中、7番今村がショートへの内野安打で出塁するも後続が続かず。 7回のトップからの好打順も慶應義塾のエース森田の伸びのある直球に3者連続三振を喫し、8回も三者凡退。 なかなか反撃のチャンスがつかめない。
逆に慶應義塾は8回表、2つの四球で溜めたランナーを1番下村の2打席連続の3塁打で還して2点を追加し、7-3と鎌倉学園を突き放す。 ここで鎌倉学園はピッチャーをエースナンバー1の清水に交代。 清水は後続を断ち、9回も慶應義塾の攻撃を3者凡退に仕留める好リリーフで、これ以上の失点は防いだ。
そして、いよいよ鎌倉学園の最終回の攻撃。
先頭の7番今村が四球で出塁すると、ここから鎌倉学園は代打攻勢に出る。
まず最初の代打、谷口がカウント1ボールから強振すると、打球はレフトスタンドに吸い込まれる2ランホームラン。
続く2人目の代打、山本の打球も快音を残し、同じような角度でレフトに上がるが、これは惜しくもレフトフライ。
しかし、3人目の代打、地主がカウント1ストライクからバットを振り抜くと、打球はぐんぐん伸びて、またもレフトフェンスを越えるソロホームラン。 神がかり的な代打策の的中で、鎌倉学園が3点を返し、7-6と1点差まで詰め寄る。
さらに攻撃は続き、2番磯崎のセンター前、3番大平のライト前の連続ヒットでランナーは1、2塁。 同点、さらにはサヨナラのランナーが出て、3塁側のスタンドからは、割れんばかりの大応援が鳴り響き、バッターは4番片岡。
片岡はカウント3ボール1ストライクから強いゴロを打ち、1塁へヘッドスライディングで飛び込んだが、463の併殺が成立して万事休す。 慶應義塾が鎌倉学園の終盤の猛攻を凌ぎ、ベスト8、準々決勝進出を決めた。
慶應義塾は中盤に逆転し、終盤に突き放すという理想的な展開だったが、最後は何とも後味の悪い勝利となった。 エースの森田は最終回、鎌倉学園の代打3人から、いずれもレフトに痛烈な打球を浴び、そのうちの2本がホームラン。
その後も連続ヒットを打たれる中、最後は何とかサヨナラ負けを回避したが、投球に力任せの感があり、配球など、もう少し頭を使っていかないと、今後の強豪校との対戦でも苦しいピッチングを強いられるだろう。 この激戦を通じて課題が見つかったことがプラス材料である。
一方の鎌倉学園は6回表のエラーが響いてしまった。 また、先発の横田が力投し、清水も好リリーフを見せたが、継投が遅かったかもしれない。 もう少し早く投手をスイッチしていたら、結果は逆だった可能性もあるだろう。
ヒット数は慶應義塾が9で鎌倉学園が13。 最後まで目の離せない好ゲームだった。
勝った慶應義塾は27日の準々決勝で、いよいよ東海大相模と対戦する。
(文=松田 祥二郎)
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