試合レポート

桜美林vs都立南多摩中等教育

2016.07.03

桜美林が2本のホームランで7回コールド発進!

 2002年以来の甲子園を目指す桜美林と、ベンチ入りしたメンバー14名が一丸となって夏に挑む都立南多摩中等の対戦。先発は桜美林楢葉 俊宗(2年)、都立南多摩中等が山本 寛海(1年)と、背番号10同士の顔合わせとなった。

 1回表、都立南多摩中等は先頭の宮下 和典(2年)と3番・森 爽太(2年)が、ともにサードのエラーで出塁。いきなり二死一二塁のチャンスをもらうと、右翼手で先発出場の背番号1・小林 茂幹(3年)が内角高めのストレートを振り切り、ライトオーバーの適時二塁打で2点を先制する。

 桜美林も負けていない。その裏、2つの失策で失点のきっかけを作った三塁手の伊藤 峻星(3年)が左中間に先頭打者ホームラン。汚名返上の一発で1点差にすると、2番の伊藤 太一(2年)は死球。この場面で、桜美林は3番の中野 隼(3年)に強攻させるが内角のカーブにタイミングが合わず空振り三振。さらに4番・北村 祐心(3年)を迎えた場面で伊藤太が二盗を試みるも失敗。その直後に北村が二塁打を放つなど積極策が実らず、ちぐはぐな攻撃になってしまった。

 なんとかリードを広げたい都立南多摩中等は2回表、7番・山本と1番・宮下のヒットで再び二死一二塁のチャンスを作ると、2番・塩野 峻平(3年)の打球はフラフラと深く守っていたライトの前方へ……。しかし、ここは桜美林の二塁手・久富 大輔(1年)が追いつきナイスキャッチ。すると、ピッチャーの楢葉も立ち直り、3回以降は変化球を織り交ぜた投球で、6回までの4イニングをノーヒットに抑える好投。ベンチの期待に応えてみせた。

 そして、序盤のペースの握り合いを制したのは桜美林。3回裏、二死走者なしから伊藤太が四球で歩くと、続く中野がレフトへ逆転の2ランホームラン。4回裏にはこの回からマウンドに上がった小林の制球の乱れをつき、四球で出た2人の走者をバントで送ると伊藤峻がセンターへ犠牲フライ。さらに、伊藤太もピッチャーの足元を抜く適時打で続き、ヒット1本で2点を挙げる効率の良い攻めを見せた。

 逆に流れを失った都立南多摩中等は7回表、この回先頭の山本がセンターオーバーの当たりを放つが、桜美林の無駄のない中継プレーにより、3塁目前でタッチアウト。その後も田中 飛翔(2年)、宮下の連打で二死一二塁のチャンスを作るが、塩野は良い当たりのレフトフライに倒れ、再び得点機を逃してしまう。

 こうなると「ピンチの後にチャンスあり」の格言通り、7回裏の桜美林増渕 嶺(3年)の適時二塁打で4点差にすると、2つのバントがヒットになる幸運もあり、さらに無死満塁の好機を作る。ここで打席に立ったピッチャーの楢葉は右中間を真っ二つに破る走者一掃の適時三塁打を放ち、桜美林が9対2の7回コールドで都立南多摩中等を下した。

 序盤と終盤で、流れが逆になったこの一戦。都立南多摩中等としては、2回表のチャンスで追加点を挙げられなかったのが響いた。しかし、1番の宮下は4打席すべてで出塁するなどリードオフマンとしての役割を果たし、守備ではノーエラー。部員が少ないなか、強豪相手に素晴らしい戦いぶりだったと言えるだろう。

 長打攻勢で流れを引き寄せた桜美林は自慢の打線が2本のホームランを含む12安打で9得点。二番手投手の楢葉も7回を2失点で完投と順調な仕上がり。あとは、今後、勝ち上がっていくためにも3つあった内野陣のエラーを減らしてきたいところだ。

(文=大平 明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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