試合レポート

国士舘vs都立杉並工

2016.07.03

国士舘打線が爆発! 22安打28得点で圧勝!!

 レフトからライトへの風が、時折、方向を変えながら強く吹いていた町田市小野路球場。第1試合は昨秋、今春と合同チームでの参加だったが今夏は部員16名を集め、単独チームとして出場を果たした都立杉並工と、昨夏の西東京大会でベスト8に進出したメンバーが多く残る強豪・国士舘の対戦となった。

 試合は1回表から大きく動く。都立杉並工のエース・髙橋 北斗(1年)に対し、国士舘の1番・上原 隼(2年)がいきなり中越え三塁打。続く2番の松延 太壱(2年)がファウルで粘って四球をもぎ取ると、3番・長沢 燎(3年)の一塁ゴロの間に三塁走者が生還して国士舘が早くも先制。都立杉並工はこれで動揺したのか、4番・松澤 龍樹(3年)のライト線のフライを右翼手が落球して(記録は二塁打)2点目を失うと、5番・大平 海靖(3年)の左中間適時三塁打など4本の長短打と失策で、この回、一挙に7点を奪われてしまった。

 2回表、国士舘の猛攻はさらに勢いを増し、二塁打の長沢をセカンドに置いて、松澤がバックスクリーン直撃の2ランホームラン。後続の打者も1四球を挟んで5連打を浴びせ、先発の髙橋をノックアウト。二番手としてマウンドに上がった中嶌 大我(1年)にも二死から、大平のこの日2本目の三塁打など3本のヒットを重ね、この回だけで大量11得点を記録した。

 攻撃の手を緩めない国士舘は3回表、制球が定まらない中嶌を攻め立て、三者連続四球の無死満塁から長沢が一二塁間を破る2点適時打、松澤もレフト線に2点適時二塁打を放つなど、この回も7得点。一気に勝負を決めた。

 国士舘の先発を任されたのは背番号19の左腕・石井 峻太(1年)。130キロ台をマークした高めのストレートを中心に三振の山を築き2イニングで5つの三振を奪った。そして、3回は右腕の森 寿樹(3年)、4回は右サイドハンドの堀 亮人(3年)とつなぎ、5回からは村山 由晃(3年)が登板。180cmの長身から力強いストレートを投げ込み三者三振で試合を締め、結局、4人の継投で都立杉並工を無安打に封じてみせた。

 5回コールドで危なげなく勝ち上がった国士舘。この試合では、エースの安陪 蕙(3年)や深澤 史遠(2年)を温存しつつ、ベンチ入りの20人中18人を試合に出場させ、夏の大会の雰囲気を肌で感じさせることができた。今年はノーシードで1回戦から戦うことになったため投手陣のやりくりがポイントになってくるが、それを逆手にとった采配と言えるだろう。攻撃陣は松澤の5安打を筆頭に22安打で28得点を奪ったが、相手チームのミスに助けられたところもあり、額面通りには受け止められない。また、再三、仕掛けたエンドランできっちり転がせない場面が多かったのも、今後の反省材料となるだろう。

 都立杉並工は1、2年生が主体のチームで、強風にあおられたフライに対し外野手が目測を誤るシーンがたびたび見られるなど、練習不足の面は否めなかった。だが、この試合に登板した2人の投手はともに1年生。また、安定した守備を見せた二塁手の吉野 敬吾も1年で、攻撃面でも四球を選びチーム唯一の出塁を果たすなど意地を見せた。若いチームだけに、伸びしろはまだまだあるはずなので、また来年の夏に向かって練習に励んでもらいたい。

(文=大平 明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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