試合レポート

花咲徳栄vs東海大甲府

2016.05.22

花咲徳栄・綱脇、東海大甲府打線に臆することなく、6安打完封!

花咲徳栄vs東海大甲府 | 高校野球ドットコム

菊地大輝(東海大甲府)

 こういう試合があるのか。お互い打撃力は高く、少なくとも3、4点の勝負になるかと思われた。どちらの投手も素晴らしかったというほかない。

 東海大甲府の先発・菊地大輝(3年)は立ち上がり、4番隈本達也(3年)に適時打を打たれたとはいえ、2回以降は素晴らしいピッチング。立ち上がりはボールが浮いていたが、2回以降は140キロ台のストレートは見せ球として、130キロ台のカットボールの割合を増やしたことで、投球がだいぶ楽になった。簡単に捉えることができるボールではなく、要所で120キロ後半のフォークを投げて縦の変化を見せるなど、縦・横の変化をしっかりと使うことができていた。変化球で打たせて取ることができるようになった菊地は、ようやく落ち着いてきたのか。ストレートでも、コントロールが定まり、135キロ~140キロのストレートが両サイドへビシバシと決まり、3回表に、最速144キロを連発。どこか力任せに見えた昨年とは違って、制球力がだいぶ落ち着いてきた。

 投球フォームも、以前よりは開きが抑えられた投球フォームとなり、始動がどことなく田中将大を彷彿とさせるものである。無駄な力が入っておらず、滑らかなテークバックからオーバースロー。指先の感覚が良いだけではなく、しっかりと強く振って投げることができているので、生きたボールがキャッチャーミットに決まっていく。変化球でしっかりとかわすこともできれば、さらにストレートで詰まらせるピッチングもできる。前から器用なピッチングができる菊地だが、さらにストレート、変化球の精度が上がり、一歩上のピッチングができるようになっている。菊地にとっては、ベストなストレートではないとはいえ、7割~8割の力でも、ハイクオリティなピッチングができる。これは12月から野球ノートを始めてからか、トレーニング内容、食事内容、投球内容を見直したことで、ケガなく、良いコンディショニングで臨むことができる。1年秋から見てきている投手だが、とても大人になったピッチングを見せてくれた。それだけに1回表の1失点が惜しかった…。


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綱脇慧(花咲徳栄)

 花咲徳栄の先発・綱脇慧(2年)は、東海大甲府打線に臆することなく投げ込んだ。テークバックをコンパクトに取ってから鋭く腕を振って、投げ込む投手。ストレートのスピードは120キロ後半(最速131キロ)ほどだが、球速表示以上にキレを感じ、打ち難いコースへしっかりとコントロールができる。100キロ前後のカーブ、115キロ前後のスライダー。特別な変化をするわけではないのだが、東海大甲府打線が打ちあぐんでいるのだ。狙い球が来ないまま、中途半端に振りに行って内野ゴロ、平凡な外野フライを量産。これは捕手・野本真康のリードが実に素晴らしかった。綱脇はまだスピードは出ていないが、投げ方が良いので、これで、140キロ前後まで伸びてくると、もっと見栄えする投手だろう。

 

唯一のピンチが5回裏、一死二塁から8番菊地が放った中前安打。これで同点かと思われたが、センター・山本優也の好返球でアウト。まさにスーパープレーとも呼べるプレーだった。このプレーで気を楽にした綱脇は淡々と東海大甲府打線を打ち取っていく。

 

 7回裏には二死二塁のピンチを招いたが、菊地の代打・村上を打ち取り、9回裏には二死二塁のピンチを招いたが、6番川上和輝をインコースで空振り三振に打ち取り、完封勝利。これには思わずおっと驚かせる配球だった。最後まで東海大甲府打線を捉えさせなかった。

 

 綱脇にとっては自信になる試合だっただろう。また1失策したとはいえ、最後まで落ちついた花咲徳栄守備陣も見事だった。エース・高橋昂也は登板しないなか、このような勝ち方ができたのは、花咲徳栄にとっては大きな1勝でもあった。

(文=河嶋宗一、写真(img36~)=佐藤 純一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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