試合レポート

報徳学園vs神戸国際大附

2016.05.01

1年生の1番打者が3安打の活躍

報徳学園vs神戸国際大附 | 高校野球ドットコム

報徳学園・小園海斗

 1点を追う報徳学園は6回、1番・小園海斗(1年)の同点タイムリーをきっかけに打者一巡の攻撃で6点を挙げ、神戸国際大附の左腕・東郷太亮(3年)をこの回限りで降板に追い込んだ。投げては背番号11の向井崇人(3年)が8回まで4安打1失点。9回に2点を失ったが、永田裕治監督も「良く投げた」と讃える内容で県大会初完投を果たした。

 「(リリーフした)前回の試合でフォームが定まらなかった。今日は落ち着いて投げることがテーマでした」と振り返った向井。昨秋まではサイドスローで投げていたが、次第に自分に合わなくなってきたと感じ、今春から入学時のオーバースローに戻し、コントロールがよくなった。その結果がわずか105球での完投である。絶対的エース・主島大虎(3年)、故障から復活した中本光紀(3年)や多根井蒼太(3年)と素質あふれる投手が揃うが、背番号11の向井も神戸国際大附戦3失点完投が自信に繋がるかもしれない。今後が楽しみである。

 6打数3安打の1年生・小園にも触れたい。6回の同点打もさることながら、圧巻だったのは5回に放った三塁打だ。プロも注目する兵庫屈指の左腕・東郷の直球を捕えて、打球はライト後方へ。風に戻されて本塁打とはならなかったが、「50メートル5秒9から6秒0」と話す俊足を生かして一気に三塁に到達。凄い才能を見せた。

 兵庫県宝塚市出身。宝塚リトルでは東京ヤクルトの山田哲人の後輩にあたり、本人も「好きな選手です」と話す。中学時代は枚方ボーイズで、昨年の侍ジャパンU-15代表に選ばれた逸材。永田監督も、「高校1年の時の尾崎匡也(元・北海道日本ハム)より上」と期待する。

 「初戦と2戦目(3回戦)は両方5打数2安打でした」と振り返った小園。準々決勝の成績を加えると、16打数7安打。1年生1番打者のバットに準決勝も注目だ。

 さて、同点打を放ったのは小園だったが、その前の9番・向井の繋ぎが勝負のポイントだったように思える。
 向井の場面は一死一、二塁。次が小園ということで、9番ピッチャーの向井は送りバントをするのではないかと考えられた。しかし永田監督は、「向井はバッティングが良いので」と強攻策。ダブルプレーでチャンスが潰えてしまうリスクはあったが、結果はライトフライとなり、二塁走者の金丸星磨(3年)が三塁へ進んだ。送りバントで二死二、三塁と、進塁打での二死二、三塁。守る方、特にバッテリーにとっては後者の方が嫌に感じるのではないだろうか。そう考えると向井の進塁打が地味化もしれないが効いてくる。

 もし、二死二、三塁だったら、神戸国際大附バッテリーは小園に対してどう攻めただろうか。
 同じような攻め方をしたか、それとも次の打者を頭にいれながらカウントによっては勝負を避けたか。スコアブックを見直すと色んな想像をすることができる。

(写真:中谷明 img002~img040)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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