試合レポート

春日部東vs叡明

2016.04.25

春日部東、狙い通りの終盤勝負で初戦突破

春日部東vs叡明 | 高校野球ドットコム

舟橋(春日部東)

 春日部東対ベンチ入り16人が2年生という若い叡明という東部地区同士の一戦、春日部東が左腕の舟橋、叡明が2年生の中山と両エースが先発し試合は始まる。
舟橋は、インステップでやや立ち投げ気味の独特なフォームからボールを動かす変則左腕、対する中山はまだスピードは出ていないが、オーソドックスなフォームながら恵まれた体格から投げる角度と制球で勝負するタイプだ。
序盤は両投手がその持ち味を出し静かな立ち上がりとなる。

 試合が動いたのは3回裏、先制したのは叡明だった。この回先頭の小林が右中間への三塁打を放ち無死三塁とする。ここで先制点を奪われたくない春日部東は序盤ながら極端な前進守備を取る。一死後、2番・島田が左中間へタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。さらにその後も、続く三上の犠飛と4番・室賀の四球で二死一、三塁とチャンスを迎えるが、ここは舟橋が踏ん張り後続を抑え1点で攻撃を終える。

 その後も両投手が踏ん張り5回を終え叡明1点リードで前半戦を終了しグランド整備に入る。

 春日部東の反撃は6回表だった。それまでやや沈黙していた春日部東打線が中山に襲い掛かる。
この回先頭の原田が相手の内野ゴロエラーで無死二塁とすると、続く廣瀬がきっちりと送り一死三塁とする。ここで2番・高橋がライト前タイムリーを放ち同点とすると、さらに二死後、4番・橋本が3ボールからの4球目をフルスイングし、レフト線へタイムリー二塁打を放ち一気に勝ち越しに成功する。

 一方の叡明もその裏、すぐに反撃を開始する。一死から5番・八木がレフト前ヒットを放ち一死一塁とすると、続く上條のセカンドゴロに対し併殺を焦ったセカンドがエラーをし、一死一、三塁とチャンスが広がる。
守備の乱れが出て本来ならチームに動揺が走る場面であるが、ここで春日部東の選手達は慌てなかった。上條はすぐさま盗塁で二塁を奪い一死二、三塁となると、ここでは内野があまり前進守備を取らず、7番・石井のショートゴロの間の1点のみで後続を抑え春日部東の当初の予定通りの終盤勝負となる。


春日部東vs叡明 | 高校野球ドットコム

中山(叡明)

 迎えた8回表、一死後2番・高橋がライト越えの三塁打を放ち一死三塁と勝ち越しのチャンスを作ると、続く土屋の打球はセカンドゴロとなる。だが、三塁走者高橋はギャンブルスタートで本塁突入する。判定はセーフとなり貴重な勝ち越し点を奪う。これで流れを掴んだ春日部東は、やや疲れの見える中山に対し、途中出場の5番・仲井間がレフト越えのタイムリー二塁打を放つと、続く小林にも左中間へのタイムリー二塁打が生まれこの回3点を奪い試合の大勢は決した。

 投げては舟橋が、決して本調子とは言えない状態ながらも、粘りの投球を見せ2失点でまとめた。結局このまま5対2で春日部東が勝利し三回戦へ駒を進めた。

 この試合は、元々前日のミーティングから前半は最少失点で凌ぎ7回以降の勝負ということで試合に臨んでいた春日部東は、まさに狙い通りの展開となった。舟橋の粘投も含め、勝負所での状況判断の良さはさすが経験豊富な3年生といった所か。これで最低限にシードは獲得した春日部東の次の相手は大宮西栄北の勝者となる。富沢監督を中心にまとまっている選手達が持ち味の粘り強さを次の試合も見せられれば上位シード獲得も見えてくる。

 一方の叡明はこの日若さが出た。注目していた三上、室賀だったが、この試合は共に得点に絡むことができずやや消化不良か。だが、共にその大器の片鱗は見せた。三上はこの日鋭い当たりは連発していたが、相手の好守備に阻まれた。もう少し下半身主導のスイングができてくればさらに良くなるであろう。室賀は最終打席にレフト線への二塁打を放つと隙を見て三塁を陥れるなどゲーム後半になって本領を発揮した。室賀はオープン戦で8本ぐらいホームランを打っていたそうだが、昨秋は怪我もあり、今大会が本来の状態で出た初めての大きな大会ということでゲーム序盤はやや硬さが見られた。とはいえまだまだ共に2年生、これからまだまだ成長するであろう。彼らとエース中山が軸となり夏以降どこまで伸びてくるのか今後も注視したい存在だ。

(取材・写真=南 英博

春日部東vs叡明 | 高校野球ドットコム
注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.28

【鳥取】鳥取城北が大差でリベンジして春3連覇<春季県大会>

2024.04.28

【富山】富山商、氷見、未来富山などがベスト16入り<春季県大会>

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!