試合レポート

二松学舎大附vs東海大菅生

2016.04.24

二松学舎大附、大江を猛打でカバーし関東大会進出

二松学舎大附vs東海大菅生 | 高校野球ドットコム

力投する大江(二松学舎大附)

 関東大会の出場がかかった準決勝は、大会のヤマ場の一つ。しかも第1試合は、2年前の秋季都大会の決勝カードである二松学舎大附東海大菅生の対決とあって、球場には大勢の観客が詰めかけた。
試合開始に先立ち、熊本を中心とした大震災の犠牲者に黙とうを捧げた。

 東海大菅生の先発は、2年前の秋に三塁手として出場した伊藤 壮汰二松学舎大附は、2年前もエースとして登板し、その時は敗戦投手となった大江 竜聖であった。

 この大会で大江が先発するのは、3回戦の日大鶴ヶ丘戦以来。この時も内容が良くなかったが、この日も、あまり良くない。
1回裏東海大菅生は、中前安打の1番佐藤 弘教を2番杉本 蓮が送り、3番落合 宏紀は、インコースをうまく引っ張りライトオーバーの二塁打。しかし、二塁走者の佐藤は、本塁を突かなかった。「あれは還ってこないとダメ」と、東海大菅生の若林 弘泰監督は嘆いた。

 ピンチになると大江はギアが入り、後続を抑え、初回は無得点に終わった。しかし、この日の大江はピリッとしない。
2回裏東海大菅生は、この回先頭の6番本橋 実生が左前安打で出塁すると、続く小玉 佳吾の捕手・今村 大輝の前に転がったゴロを、今村は二塁に悪送球で、無死一、二塁。8番郡 怜央が送り、9番高橋 陸のスクイズは、一度はファールになったものの、次の球でも続けてスクイズをして成功。東海大菅生が1点を先取した。この辺りは、東海大菅生の若林監督の執念が伝わってくる采配である。

 それでも二松学舎大附は3回表、内野安打の9番島根 寛人が二盗し、鳥羽晃平のライトへの二塁打で同点に追いつく。
同点に追いついても、大江の調子は戻らない。3回裏には、落合の前打席に続く二塁打の後、三者連続四球があり、押し出しで、また東海大菅生が勝ち越す。


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伊藤(東海大菅生)

 二松学舎大附の市原 勝人監督は、「力みがあった」と大江の投球を語る。また大江は、「変化球で腕が振れず、カウントを取れなかった」と語っている。確かにこの日は、変化球が高めに浮いていた。
といって、東海大菅生も勝ち切れない。5回表二松学舎は鳥羽が内野安打で出塁すると、すかさず二盗。続く3番市川 睦は、右前安打。右翼手から本塁への送球が乱れる間に鳥羽が還り、同点に追いついた。

 そして6回表、この回先頭の6番橋本 雅弥は、ライト側にあるスコアボードに当たる本塁打を放ち勝ち越す。市原監督は、「珍しく決勝点を打ってくれました」と語る。さらに7番平野 潤がセンターオーバーの二塁打。8番大江の中前安打で無死一、三塁とし、島根の投ゴロで走者は入れ替わり、一死一、三塁。ここで1番三口は三塁に転がすスクイズ。バックホームされ、タイミングはアウトであった。しかし捕手・高橋の左足が本塁をふさぐ、ブロックをしたとみなされ、走塁妨害になり、平野 潤が生還した。一連の動作であり、今までなら、走塁妨害とはみなされなかっただろうが、今年から厳しくなっていた。このプレーに動揺したのか、伊藤は3番市川に二塁打を打たれ、守備の乱れもあり、2人が還り、この回二松学舎大附は、4点を入れた。さらに7回表は大江の本塁打で1点を追加。

 その裏東海大菅生は2死球に伊藤の二塁打などで2点を返したものの、9回表には、今村がレフトに特大の本塁打を放ち、8対4で二松学舎大附が勝利し、関東大会出場を決めた。

 この日は大江の調子は良くなかったが、それでも二松学舎大附の市原監督は、「いつもベストではいられないので、ベストでない時のピッチングが大切。今日は粘り強く投げました」と語った。悪い時は、悪い時なりの投球ができるのが、大江の良さである。さらに不調の大江を、大江自らの本塁打を含めた攻撃力でカバーするところが、チームの底力だろう。決勝戦は秋季都大会の再戦である、関東一戦。市原監督は、「あのしつこい感じは嫌ですね」と言いつつも、「楽しみだし、決勝戦の空気を満喫させたい」と語った。

 一方敗れた東海大菅生の伊藤投手の調子について若林監督は、「悪くはなかった」と言う。ただ守備や走塁でのミスで流れを掴めなかったことを悔やんだ。それでも、攻守ともに秋よりは充実し、伊藤投手も「そこそこやってくれた」と若林監督は評価する。「また配置換えしながらやっていきます」と若林監督。東海大菅生は西東京の第1シードとしてマークされる立場にあるが、1年生を含め、選手の適性を見極めながら、夏に臨む。

(取材・写真=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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