鷲宮vs三郷工技
本物の全力野球を実践する鷲宮が速攻で5回コールド勝ち
4番菅原大(鷲宮)
地区予選になると、力の差があって大差になることは多い。本当に強いチームなのかを見極めるかは打者のスイングスピード、打球の速さ、プレーのスピードが判断材料になる。今回、三郷工技を13対0で大勝した鷲宮は実にスピード感があるチームだった。次々と長打、さらに先の塁を奪う走塁姿勢は爽快感があった。
1回裏から自慢のスピードで圧倒する。
一死二、三塁のチャンスで、打席に入ったのは4番菅原がいきなり右中間を破る適時三塁打を2点を先制。5番鮫島も右越え適時三塁打で3対0。6番阿見の鮮やかなスクイズでいきなり4点を先制する。2回裏にも打線の勢いは止まらず、一死二、三塁から4番菅原が左越え適時三塁打を放ち、さらに追加点を入れる。その後も鷲宮打線の勢いは止まらず、18安打13得点と5回コールド勝ちを決めた。鷲宮の選手たちの脚力が高く、次の塁を狙う積極的な走塁姿勢が素晴らしく、次々と二塁、三塁を当たり前にように奪っていく。また一瞬でも隙を見せれば、一気に先の塁を陥れていた。走塁でプレッシャーを与えるというのはこのことをいうのであろう。
柿原実監督は、スピード感や全力疾走というのを大事にしてきた。
「全力疾走というのはずっと大事にしてきたことですし、これは勝敗関係なく欠かさずにやらなければならないことですからね。それは今の世代だけではなく、次の世代のも受け継いでいきたい」と話すように、選手たちはただベースラニングだけではなく、集合の時や、守備位置に走るまで、そしてベンチに戻るまで常に全力疾走。彼らの動きを見ると、良い意味で緊張感がある。
今日魅せた鷲宮のキレのあるプレーは、プレ―の時だけ全力疾走だけではとても出来上がらないものというのが理解できた。今後も勝ち進み、鷲宮野球を実践できるか。
また個人で光っていたのが三塁打2本、中前安打1本を放った菅原大(3年)だ。
168センチ70キロとがっしりしており、ベンチプレスは100キロ、スクワットは160キロとパワフル。左足を高々と上げてタイミングを測り、ぐっと前へ踏み出し、腰を鋭く回転させて振りに行く選手。この試合では良いポイントで打っていて、打球音が鈍く、重い金属音を響かせて、鋭い打球を飛ばしていた。
菅原が良いのは逆方向に鋭い打球が打てること、第1打席は右中間を破る適時三塁打だったが、打球音の大きさ、打球速度は他の選手と比べてもかなり速く。第3打席はライト方向へあわやホームランと思わせる打球を放っていた。それでも本人は第3打席以外は自分の打撃ができなかったと反省している様子だった。またベースランニングも非常に速い選手であり、外野守備を見ていてもスピード感がある。走攻守三拍子揃った外野手として、ぜひ注目してほしい選手である。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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